PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ケニア航空が Flying Blue から独立

 

アフリカでは存在感のあるケニア航空が、独自の顧客プログラムを持つことになりました。名称は Asante Rewards。

Asante Rewards Member Portal

よく知られていますが、これまでずっと(すくなくとも10年以上)ケニア航空のプログラムは Flying Blue でした。おそらくこれは KLM との関係が深かったためだろうと思います。ただこの航空会社は、

就航地53、就航国41、年間旅客数400万、機材数34

とまずまずの規模の会社であり、独自のプログラムがあっても不思議ないレベル。遂にと言うべきか、できました。

 

Asante は "à santé !" からの命名でしょう。

 

 

Flying Blue の会員にとっては会員である会社が減ることになりますが、個々の会員への連絡はありませんでした。

 過去を振り返ると、支払い金額制および XP の導入による Flying Blue の大規模な刷新時に Air Europe が脱落、彼らは SUMA というプログラムを創始しました。今度 Kenya Airways が抜け、Flying Blue は Air France, KLM, transavia, Tarom, Aircalin の5社のプログラムに縮小しました。

 

Skyteam の会社別のページは、更新が遅れています。

 

何はともあれ、ライバルであるべきの Lufthansa 一族には差を付けられる一方の AF-KLM 党です。Mile and More は Lufthansa, Austrian, Swiss, LOT という大手4社、Croatia Airlines, Air Dolomiti, Luxair, Brussel Airlines という地域航空会社4社、GermanwingsというLCC1社、Adria Airways という破綻会社1社の総計 10 社の共同プロラムです。

 

さて新しいプログラムの Asante Rewards、刷新前の Flying Blue のシステムに戻ったように感じられました。会員レベルとその到達・維持条件は

 

Ruby (平) 搭乗条件なし

Silver (Skyteam Elite) 15セクターのフライトか 20,000 ポイント

Gold (Skyteam Elite Plus) 30セクターのフライトか 40,000 ポイント

Platinum (Skyteam Elite Plus) 60セクターのフライトか 65,000 ポイント

 

Flying Blue (旧) も搭乗回数か搭乗マイルかの一方が満たされれば OK という二基準制でした。Silver が 25,000 マイル、Platinum が 70,000 マイルという距離基準でしたが、他は Asante と同じ。

 会員特典の方もボーナスマイルのレートは Flying Blue (旧) と同じです。

 

Ruby (平) 0%、Silver 50%、Gold 75%、Platinum 100%

 

その他の特典は現行の Flying Blue とよく似ています。エコノミークラスの座席指定料金の減免も上級会員特典となります。

 

Flying Blue は、

(1) 支払金額による特典マイル獲得

(2) 搭乗距離 (5区分) と搭乗キャビン (4区分) を区別した利用実績で上級会員

という仕組みで顧客の利用を促します。しかし航空輸送産業で国家管理が強力な場合、(1) よりも搭乗距離基準の方が都合が良いことでしょう。利用者数の増加が重要になるため、搭乗回数も評価点になります。また本拠地の地理的要因からXP の搭乗距離区分は最適ではないはずです。そもそもキャビンはケニア航空を含む多くの航空会社で2区分であり、ビジネスクラスで XP の重みがエコノミーの3倍という因子は航空産業の保護色が強い場合、大きすぎるかもしれません。

 

このような理由から、ケニア航空は自社の状況に即したプログラムを作ったものと考えられます。Tarom や Aircalin も AF や KLM と状況が全然違うのですが、独自のプログラムを持つ力はないと思われます。しかし情報サービスは進歩する一方。小さな会社でも将来は独自のプログラムを設けることでしょう。