PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

外航プログラムの魅力は独自の路線網

 

日本在住でマイルを貯め、利用することが日常になっている人は、普通 JALANA のプログラム会員でしょう。規制が強い世界で顧客維持を図るため、航空会社は自国の会員に魅力的なプログラムを作ります。したがって日本人が JALANA ばかり使うのは不思議ではありません。他の国でも同様な現象は見られます。

 

一方、JALANA のプログラムをあまり利用しない方々もいます。北米3社とキャセイパシフィックは伝統的に人気がありました。日系と併用という方から外航のみという方まで、随分愛されたようです。これらの会社は 2010年代のプログラム改悪の結果、往時ほどの勢いがありません。

 

日本在住で外航プログラムを選ぶ動機は何でしょうか。一つは外国で最適化されているがゆえに日本で利用すると異常に有利なサービスが見つかる、いわゆるスイートスポットの存在です。スイートスポットは特典航空券の有利さ、上級会員になりやすさなど多岐にわたりますが消える一方です。

 

一方、真っ当な視点からの魅力は路線網。自社会員へのサービスは提携会社会員へのサービスに勝ります。プログラムの会社をなるべく使うのが正しい態度なのです。そして路線網は会社によりかなり異なります。国内線は規制から当然ですが、国際線も様々な理由からクセを持つ会社が多いのです。これは渡航地の数を増やしたいとか、新しい旅行をしたい時重要になってきます。会員に提供される情報の種類と密度の違いもあります。JALANA の会員は JALANA から縁遠い渡航地に関して知る機会があまりありません。そういう土地へのアクセスが容易になることは、日本では一風変わった体験が容易になることを意味します。

 

本記事では私が良く利用するプログラムについて、路線網を紹介します。外航プログラム会員が使いやすい路線の例になると思います。

 なお基本情報ですが、私は JGCSFC も未収得で入会に向けて行動を起こしたことがありません。JAL マイルはたまに使いますが、使い方に思いを巡らすほど貯めません。スーパーのポイント払いと同じ感覚で利用しています。ANA のマイルは10年近くご無沙汰です。

 

1) エーゲ航空

ギリシャの地域航空会社で、欧州の金満国から自国観光地への大量輸送を担う顔を持ちます。この点ではギリシャに年一度以上行く方なら、第一に勧められるプログラム。長年会員を続けるとアテネを中心に地理を考える傾向が生まれます。

 

実はこの会社、バルカン半島の国々への路線網が大変充実しています。アテネを拠点として、2-3日の旅行を複数組立てることも可能です。2-3年でバルカン半島制覇も視野に入ります。

 現在 Slovenia (季節), Croatia, Montenegro, Kosovo (未就航) はユーロ圏になり、滞在しやすくなりました。ギリシャもユーロです。エーゲ航空は他にも Roumania, Bulgaria, North Macedonia, Albania, Serbia, Bosnia-Herzegobina, Moldova に就航しています。Kosovo を除いてバルカン半島の全ての国まで直接アクセスできます。

 欧州大手 (LH, AF-KLM, BA-IB など) もこの地方に十分な数の就航地を持ちますが、本拠地を中心にして計画立案すると、搭乗距離が大きくなります。中心に据える必然性がありません。

 

近東・コーカサス中央アジアでも Iran, Israel, Jordan, Kuwait, Lebanon, Armenia, Azerbaijan, Georgia には直接アクセスするエーゲ航空ギリシャ以外の地中海の島々にも Cyprus, Sicilia, Mallorca, Ibiza, Malta と5つの就航地を持ちます。

 

どうでしょう。JALANA のウェブサイトや路線網からは全く違う世界が見えてきませんか。自分が良く使うプログラムの会社がこういう路線網を持っているなら、訪問国稼ぎをしようという気がしています。

 

2) エールフランス

ここの会員がパリ中心に発想するのは仕方ないこと。フランスの顔なので、かつての植民地だった国、地域に多くの路線を持ちます。当たり前ですがアフリカ、特にフランス語諸国に強いのです。しかし改めてリストにすると数に驚きます。就航するアフリカの国々は

Algeria, Angola, Benin, Burkina Faso, Cameroon, Central African Republic, Chad, Democratic Republic of Congo, Djibouti, Egypt, Equatorial Guinea, Gabon, Gambia, Ghana, Guinea, Côte d'Ivoire, Kenya, Madagascar, Mali, Mauritania, Mauritius, Morocco, Mozambique, Namibia, Niger, Nigeria, Republic of Congo, La Réunion (実はフランス国内), Senegal, Seychelles, Sierra Leone, South Africa, Tanzania, Togo, Tunisia

です。南米と並び日本からは行きにくい大陸なので、パリを中心にアフリカ諸国への旅行は距離が大きくても十分ありうる話です。一つの航空会社でアフリカ諸国にアクセスする状況だと、TK, QR, EK の選択肢もありますが「渡航地によっては本拠地から相当遠い」問題は解決しません。

 フランスは南太平洋にも植民地を数多く持っていましたが、エールフランスには地球の反対側に路線を多数維持するほどの能力はなく、現在は papeete (実はフランス国内) だけです。

 

日本ではフランス旅行をアフリカ旅行と近接させて発想しませんが、パリを拠点とする北アフリカ諸国紀行なら距離も知れており、極めて妥当なプランです。

 

3) ブリティッシュエアウェイズ

植民地の所有・経営の点では、大英帝国の方がもちろんフランスより上手でした。しかしそれは全世界におよんでおり、あまりクセが見つかりません。あえて言うと良港を押さえた (というより建設した) 場合が多く、そういう地は世界的な交通の要所に成長。エールフランスにみられるような特徴を指摘するのは困難です。

 QR, EK, TK, SQ などの国際線路線網が非常に大きい航空会社に似ており、没個性的です。