PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

まともな考えでフライトを選択するなら

 

以下は東京圏在住者が欧州の都市に向かう場合のお話です。

 

まともな発想による原則

マイルだとか、メンバーシップだとかの邪(よこしま)な発想から自由になるなら、フライトを選択する時、

 

・所要時間の少なさ、出発・到着時刻の適切さ

・移動の価格

・移動中のサービス

 

が判定基準になることでしょう。きわめて当たり前の考え方です。

 

国際線は、首都やそれに匹敵する都市と他国のそれらの間に開設されます。そういう直行便がカバーできない都市は乗継による移動になります。乗継を考慮すると航空会社選択の幅が大きくなります。

 

かつて欧州各地に行く場合は、日系か欧州の航空会社を利用するのが有利でした。

 まず直行便がある場合はそれを利用すると時間が節約でき、出発、到着時間に無理はありません。早朝過ぎる出発と深夜過ぎる到着は利用者減の原因になるので、航空会社は路線開設の時にそういうフライトにならないようにします。

 直行便がない都市でも、日系か欧州の航空会社の利用が有利でした。欧州の航空会社は欧州内に路線網を持つためです。日系2社は提携によって就航地からその路線網に接続します。

 

状況の変化

ところが2022年2月以降、そうとも言えなくなっています。ロシア上空を飛べなくなったことで、アジアー欧州便の所要時間が増大したことはよく知られていますが、欧州の航空会社はこれに対応しきれていません。日本から直行便がない都市に行く場合、深夜着、早朝発になることが増えています。時には同日接続できなくなっています。

 

例えばベルリン。東京から BA を利用すると

往:BA8 HND 11:30 発 LHR 15:45 着 + BA988 LHR 18:55 発 BER 21:45 着

復:BA999 BER 21:20 発 LHR 22:15 着 + BA7 LHR 9:00 発 HND 7:35 着 (LHR は一夜越)

往路は一見平気に見えますが、BA988 が1時間遅延すると市中到着は日付が変わる頃。土地勘がないと公共交通機関での移動は困難になります。フライトの遅れで予定が狂う可能性が大きいのです。

 復路は壊滅しています。朝一番の BA981 は BER 7:00 発、LHR 8:05 着なので BA7 に接続しません。BER 6:25 発なら接続します。そうだったこともあります。しかし冷静に考えると、6:25 発のフライトのチェックインを 2時間前に行うなら、4:25 の空港到着。すると市中を出るのは朝 3時台です。宿泊がかなり制限されます。

 

LHを使うと以下の通り。

往:LH717 HND 12:35 発 FRA 19:00 着 + LH200 FRA 19:45 発 BER 20:55 着

復:LH185 BER 11:40 発 FRA 12:55 着 + LH FRA 13:45 発 HND 10:30 着

往路は一見問題が小さいように見えます。しかし FRA の接続は MCT の 45分。購入後に出発日の LH717 のスケジュールが 5分後になれば LH200 には接続せず、FRA-BER 間はおそらく翌朝一番の LH173 に振替えられるでしょう。FRA 一泊となり予定に大きな修正が必要になります。帰りは問題ありません。

 

2022年 2月より前だったら、それぞれ BER 着は一本前のフライトに接続し、BER 発は一本後のフライトで間に合ったのです。原因はもちろん日欧間のフライト時間が延びたことです。

 こういうことがあちこちで起きています。

給食が充実していると人気の IST ラウンジ。バラ生花の束が客を歓迎。

 

解決策1

もちろん直行便がある都市は、直行便を利用することです。LHR, AMS, BRU, CDG, DUS (中止), FRA, MUC, AMS, FCO, ZRH, VIE, WAW, ARN (予定) などは東京から直行便があります。これにより地上での無理な移動を避けられます。

 

解決策2

日系 2社のフライトはやや時間が異なり、提携各社のフライトに無理なく接続することも多いようです。日系嫌いでも試しに探す価値があります。

 それ以上に注目したいのは、全く異なる時間帯を利用するエールフランス夜便。AF279 (HND 21:55 発 CDG 4:50 着)、AF274 (CDG 21:55 発 HND 19:25 着) です。目的地がパリだとむしろ不便で、接続便を利用するなら往復とも非常に都合がよい時間帯になる可能性が高いフライトです。

 

解決策3

AFの夜便と同じ理由で候補に挙がるのはトルコ航空。この航空会社は就航する国の数が世界最大と宣伝しているぐらいで、路線網が膨大。地理的には欧州の外れなので、欧州各都市の乗り入れは充実しています。就航地の数、頻度とも欧州勢に勝るとも劣りません。

 例えば BER の例なら、

往:TK199 HND 22:55 発 IST 6:45 着 + TK1721 IST 8:50 発 BER 9:45 着

復:TK1724 BER 19:00 発 IST 23:55 着 + TK198 IST 2:40 発 HND 19:45 着

となります。所要時間は往路 18:00、帰路 16:45 です。往路は MCT ちょうどの接続である LH の 16:20 より少々延びますが、BA 利用の 18:15 より優れています。帰路も BA よりずっと良いのです。

 目的地が東欧圏だと TK は圧倒的に強くなります。例えばソフィアだと、TK1027 で 8:50 到着、TK1030 で 21:35 出発です。所要時間は往路 16:55、帰路 15:10 です。LH 利用だと往路の SOF 行は最終が LH717 に接続せず、翌朝の LH1426 13:20 着。所要時間は31:45。帰路は SOF 発 6:25 で所要時間 21:05。お話になりません。

 

TK199/198 の運航スケジュールは IST を目的地とするより、乗継利用に都合がよくなっています。東京から乗継重視のフライト設定に加え、欧州への充実した路線網と運航頻度持つパターンは湾岸の航空会社 QR, EK にも共通します。ただし湾岸の航空会社利用は飛行距離が大きいので、所要時間も長くなります。

TK長距離便エコノミークラス化粧室。香料等に関しては他社ビジネスクラス並み。

 

まとめ

直行便がない欧州の都市を往復する場合、行きは 2時間程度の遅延の可能性も視野に入れ、到着時間をチェック。帰りは現地出発が早朝過ぎないことをチェック。そしてトルコ航空の利用は常に視野に入れるとよいと思います。そもそも欧州勢より料金が顕著に安いことが普通で、比べるとおそらくトルコ航空利用に傾くことでしょう。ちなみにエコノミークラスでもポーチ入りトラベルキットを配布するなど、機内サービスは充実しています。

 

補足

アジア系航空会社は当然ながら欧州の就航地が少なく、東京から直行便がない都市へ定期便を持つ会社はほとんどありません。大韓航空の PRG, BUD, MXP がそれぞれ週数回往復しているぐらいではないでしょうか。日程が合えば良い選択肢になります。地方都市からだと東京で乗り継いでも、ソウルで乗り継いでも大した差はありませんが、問題解決には効果は限定的です。