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今年も4月の魚

4月1日、ワンワールド代表 John McCulloch* は、英連邦大会連盟会長 Louis Martin と合同記者会見を開き、ワンワールドと英連邦大会間の包括提携を発表した。2022年7月27日から8月7日にかけて開催される第22回大会より、運営、財政、運輸の各分野で協力する。ワンワールドには、選手と観客が加盟各社で移動するよう「促す」、大会ロゴを無制限使用する、加盟航空会社及びその本拠地が正式種目を提案する、加盟航空会社の本拠地が大会を開催できるなどのメリットがある。

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英連邦大会(The Commonwealth Games)は、71ヵ国が加盟する英連邦大会連盟が運営する四年に一度のスポーツの祭典。オリンピックと比べると、参加選手は半分、参加国と種目の数はそれぞれ3分の1程度だが、「ワンワールドとの包括提携に合わせて、大会参加者を2倍、種目は陸上競技体操競技、マーシャルアート、水泳競技も合わせて3倍に拡大、全世界に参加を呼びかける」と、Louis Martinは発表。「もともと英連邦外からも我々の連盟に加盟、大会に参加している。参加国を世界中に広げることに格段の問題は無いと考えている。」

 

ワンワールドによると、加盟会社とその旅客は財政面でのサポートを等しく担う。合計で開催都市の負担額に等しい負担金を生み出し、大会規模の拡大を支える。英連邦大会の運営費は、2018年のゴールドコースト大会で1350億円。同額の負担をワンワールドが行うなら、一年間に運ぶ旅客一人当たり480円である。「ワンワールドは2021年、発生するあらゆる特典マイルから 10%、特典利用時にも必要マイルの 10%を寄付して頂くよう、全マイレージ会員に要請する。これで大会運営の四分の一が賄える。」と John  McCulloch は続ける。「ワンワールドの利用は、この歴史ある大会を支えることを意味する。私たちの顧客は理知的で高潔だ。寄付制度は歓迎されるだろう。」

 一方でワンワールドは、マイレージ会員への特典も考えている。入場観覧券の他、大会記念商品、選手団との写真撮影などが期間限定特典となる予定。またメダル獲得が決ったゲームで使用された器具やユニフォームを、チャリティーマイルオークションにより会員が獲得する仕組みも検討されている。オークションで集まったマイルは「スポーツ振興における子供達の経済格差解消」に使われる。

 「さらに金メダリストには、お好きな航空会社のマイレージプログラムでエメラルド会員(ワンワールドで共通化している最上位のエリート会員)資格を4年間差し上げる。銀メダリストにはサファイア会員(次位のエリート会員)、銅メダリストにはルビー会員(3位のエリート会員)をやはり4年間差し上げる。次の大会まで、ワンワールドで快適な旅を楽しんで頂けるよう、私たちのささやかなプレゼントである。」

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この発表に対して、各国政府、航空会社が浮き足立っている。オリンピックと同規模の世界大会が出現し、それは自分たちの国でも誘致できそうなのである。国営ベトナム航空は、加盟しているスカイチームを「速やかに脱退し、ワンワールドへの加盟を要請する」と宣言。「英連邦大会はオリンピックを凌駕するだろう。様々な国への誘致が可能になる今、それは第一にベトナムでなければならない。」と加えた。

 この発言の背景には、五輪開催費用の絶望的な膨張がある。経費負担ができず開催都市への立候補がなくなるという悪夢は、今や現実のものになりつつある。IOCは「オリンピックは4年に一度開催されるからこそ、祭典としての役割を果たし、人類の到達点を提示できる。同規模の世界大会が2年おきに行われることは望ましくない。」と、直ちにフェースブック公式アカウントで牽制。「IOCには、スカイチームに永年スポンサーの栄誉を与える用意がある。」と加えている。

 

オリンピックの開催費用は、2020年東京大会の場合で 3兆円とも言われている。ワンワールドの考えているマイル寄付の仕組みを使うと、旅客から一搭乗当たり2,100 マイル徴収することになる。

 IOCスカイチームを名指しにした理由は、ベトナム航空の離反ではなく、近代五輪実現の立役者クーベルタン男爵がフランス人で、エールフランスの存在が頭にあったためと見られる。エールフランスはただちに、「2,100マイルは、エールフランス-KLMの顧客が一搭乗で得る特典マイルの1.8倍にもなる。マイル寄付でオリンピックの4分の1を支えるという発想は、全くナンセンス。」とツイッター公式アカウントで IOCに応じている。

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合同記者会見の最後に、Louis Martinは「スポーツは、肉体と精神の絶え間ない向上を指向する人類の高貴なる本能が具現化したもの。それは万民の手が届く場所にあるべきだが、現実には貧富、居住地、性別による格差を広げるような活動が横行している。後世の歴史家は、金儲けの手段に堕落した時から、スポーツの暗黒時代が始まったと記すだろう。私たちはこの暗黒時代に終止符を打ち、スポーツをあるべき姿に戻さなくてはならない。」と述べた。批判の矛先が、商業主義に傾く近代五輪に向けられているのは明らか。2つの世界大会の間には、競合ではなく衝突が不可避であるという見方が強い。

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*注(ここだけは虚構ではありません。) :John McCullochは、oneworldのCEO。Mc- =スコットランド系、アイリッシュ系で姓に付く接頭辞。息子の意。cul = フランス語で尻。Loch = ドイツ語で穴。つまりこの人の苗字は、仏独部分を英語に変換してキメラ状態を解消すると McAsshole となります。英語に慣れている方ならお判りだと思いますが、この単語はスコットランド人を罵る時、嘲笑する時、そのまま使えます。(また俗語として現実に存在する単語のようです。)仏独2言語に通じている部下がいれば、McCulloch 氏は英語翻訳バージョンで呼ばれているかも知れません。もちろん陰で。

   以下はさらにどうでも良い事で、英独仏語に関心の無い方は読み飛ばして下さい。Googleは頼まなくても arsehole (assholeの異型、主に英) を enfoiré と訳し、Arschloch (assholeのドイツ語) は con です。enfoiréと con は語義が全く異なり、今日的な用例 (=ほぼ全て罵り) でも違いに気を付けなくてはなりません。しかし arseholeと Arschloch は語義が同じ、同じような罵り語です。どうして仏訳にこんなブレが生じるのでしょうか。