PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

少し見えてきたANAのA380

Une petite histoire d'ANA

破綻したスカイマークをめぐる争奪戦を覚えている方は多いと思います。多くの羽田の発着枠を持っていたからでした。個人的には、スカイマークがデルタ傘下で再出発することを期待していたのですが、結局 ANA がお買い上げ。スカイマークが未払いのエアバスA380の債権(この投資が破綻の引き金だと信じられています。)を引受けたことが決め手となったようです。もちろん国も後押ししたはず。

 

つまりANAは、スカイマーク羽田空港発着枠を手にするため、A380の注文も引き継ぐしかない(おそらく数百億の出費になる)という事態に。

 

ANAは発着枠だけが目的で、なるべく金がかからないようにA380減価償却するだろうと誰しも予想します。

 ホノルル路線への導入は、素人でも考え付く利用法。ハワイは今も昔もJALの世界ですから、粘着性の対抗意識を持つANAが、非建設的に荒らすには良い機会です。事実上特典航空券用に運航して、ポイント変換で膨らんだAMCのマイルを削減、機体を減価償却JALの狩場を荒らしたら一石三鳥。コストを嫌い、機内設備やサービスは新開発なしに運用するだろうと思っていました。

 

しかしこの予想は外れていました。

 

Les nouvelles cabines ont-elles été conçues pour faire quoi?

3機の塗装を一般募集するところまでは、良いでしょう。しかしファースト(8席)、ビジネス(56席)、プレミアムエコノミー(73席)、エコノミー(383席)と4クラス制にし、A380らしい多様な機内設備が発表されるに当たっては、考え方を改めざる得ません。大量の特典航空券の設定こそ否定していないものの、ANAJALが胡座をかいているハワイ路線に新風を吹き込もうとしていると、評価せざる得ません。

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バーカウンターは、2階席前方のファーストクラスに一つ、中央部のビジネスクラスに一つ、後方のプレミアムエコノミーに一つ。1階席は総てエコノミークラスですが、そこにもバーカウンターを2箇所に設けてあります。また1階後方には、多目的ルームが設営されます。「着替え・パウダールーム・授乳など様々な用途でご利用いただける多目的ルームを設置します。中には、シンク他、ベンチシートや着替え台、おむつ交換台などをご用意します」そうです。

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各キャビンにバーカウンターとは、相当力が入っています。顧客はもとより現場職員も期待して(いる一方、働く気のない社員は恐れて)いると思います。

 

カウチシートの導入は目玉の一つ。ニュージーランド航空などで運用されているシート。好評を博しているかどうか知りませんが、ANAの場合、エコノミークラスの最後方60席を設定。窓側は3連の、中央は4連のシートがベッドに変身。

 カウチを除くと、シート自体にそれほど新しさは感じませんが、アッパークラスは少なくとも新色で気分一新。機材外装の派手さと対照的に、2階は総て黒と灰色が基調の落ち着いたシートになります。

エアバス A380型機2019年春、就航予定!ANA HAWAII | #hawaii24 | ANA

 新色といっても、歓迎できるとは限りません。リゾート気分からほど遠い殺風景な光景。スターウォーズ・キャンペーンに自ら影響され、頭がデススターになったか?と言いたくなります。ドア付を宣伝していますが、白煙を出しながら、圧縮空気の排出音と共に開きそうです

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また本当に実施するのか疑わしいのですが、マルチカラーの機内照明や大型グラフィクスも発表されています。どうせ夜中でしょうと言いたいところですが、妙にハイになっていて、機内を無駄に賑やかにする客が多いホノルル便。ひょっとしたら、1階にはそういう客、2階には短い夜を寝る客を誘導するつもりなのかも知れません。F, C, PYの地味なシートもそれなら納得。

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Rester toujours dans la tour de Babel

ところでこのサイトから、A380は随分「盛りだくさん」になっている印象を受けるのですが、機内食の紹介が見当たりません。企画が空中分解しているのでしょうか。ホノルルのコノシュアーズ*との交渉が難航しているのでしょうか。

 

*:connoisseurは、マスターオブワインのように、生産せず、スキルは無く、知識のみに長けている人を指します。才覚と努力を認めた呼称なので、必ずしも否定的な意味ではありません。しかし職人のように口ではなく、手で生きる人に使うと、「えらそうにしているが、口ばかりで何も出来ないデクの棒」の意味になります。例えば腕は平凡なものの、バラエティ番組で人気の「目立ちたがり屋」料理人を陰で皮肉ると良い用例。

 こんな当てこすりを平然かつ堂々とやってのけるのですから、ANA の sarcasmこそ「その道を究めた」レベル。欧州メディアのお手本になりえます。真面目な話、ケーススタディとして興味深く、Pechedenferも勉強させていただきました。しかし自爆(The + 複数形ですから、ひとまとまりの集団= ANAを意識せざる得ません。)気味に紹介した職人たちとは違い、国際線の利用客は Concise Oxford ぐらい持っていることを忘れてはいけないと思います。なお発音も一般的には、フランス語の connaisseur に近く、辞書の表記も、Googleの発音もそうなっています。ANAの社員は通じる発音ができるのかと疑わしくなります。

 

Les trois honus vers les îles paradisiaques: le futur apocalyptique

どちらにしても今、日本の空でもっとも期待される新機材に違いありません。しかしですね、いざ就航となると、成田第一ターミナルの混雑が悪化します。現状でも混雑が通奏低音になっているANAの旅。2019年春就航では、空港スペースの拡大は間に合いません。投資する金もないでしょう。そんなANAホノルル路線の未来ルーブルのコレクションで表現します。

 もちろんツイッターの#名画で学ぶ銀行、#名画で学ぶ陸マイラーなどのパクリです。自分で撮影した写真を使っている点だけが違います。ご存知、巨大な美術館。これだけ集めるのに、5時間歩き回りましたが、ブログとは関係なく行く予定だったので、威張るほどではありません。

 

ホノルル便出発6時間前〜。ANAラウンジ食品置き場。

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搭乗アナウンス。「ダ..」が聞こえた瞬間。

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初の海外旅行。荷物の収納場所が見つからないエコノミークラスのお客様。

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太平洋上の解禁。バーカウンターで興じるファーストクラスのお客様。

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ホノルル空港の朝。預入れ荷物の出現を待つエコノミークラスのお客様。

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成田の第一ターミナルは入場制限でもしないと、機能不全に陥りそうです。客の方でも、現地で元気に活動したいなら PY, C, F を選ぶなどの対策が必要という気がしました。ただし、1階はツアー客と無料航空券で運航費用捻出とA380の償却、2階で利益を出すことをANAは考えているはずです。