PECHEDENFERのブログ

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ヨーロッパ:コロナウイルス感染再興の地

新興流行地:ヨーロッパ

金曜日にアップしたばかりですが、週末をはさんで新しい傾向が明確になったので、再び表を作りました。「ヤバい」状況になっているのは、ヨーロッパです。

 

金曜日の表は感染が 20件以上確認された国を対象に作成しましたが、本日月曜日の表では30以上の件数としました。それでも国の数は増えています。つまり世界中に感染が拡がっています。

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影をつけた国が週末の表に加わっています。

 

左端カラムの国名から順番に

(a) 認知件数

(b) 人口(百万人)

(c) 人口百万人当たりの認知件数

(d) 日本を1とした時の(c)の相対値

(e) (d) の世界ランキング

と並んでいます。

 

なお一日あたりの発生件数は、以下のように推移しています。2月下旬にはこのまま漸減し、新規発生は無くなると期待できそうだったのですが、再び発生が加速し始めました。

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これは最初のアウトブレークは収まりつつある一方で、別種のアウトブレークが起きていることを示唆します。

 

表の(d)欄「日本を1とした時の人口百万人当たりの件数の相対値」がその国、地域で感染が起きた割合ですので、

・その国、地域に渡航した場合に感染する危険性

・その国、地域から渡航する人間がウイルスを運んでいる危険性

を大まかな定量性をもって反映する指標になります。

 

このことから、(d)をもとに表を並び替えると「危険な国」の世界ランキングは以下のようになります。

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お分かりですね。西ヨーロッパが全体にわたり危険な場所となりました。3月初めにはイタリアに集中していた新規発生が域内に広がった形です。中国、香港は収束傾向、韓国も爆発的増加が鈍ってきたところに、新たなアウトブレークがヨーロッパで起きています。後から言うのも何ですが、これは予想すべき事態でした。

 

一週間前(3月2日)WHOの事務局長は間抜けなことに、中国以外では、韓国、日本、イラン、イタリアの4カ国が最大の懸念と述べました。イタリアで爆発的に件数増えつつある時、

ヒト・モノの移動が無制限なシェンゲン域に着目し、注意を喚起できなかったこと

・大した根拠もなく日本を懸念に入れたこと

は、どう考えても粗雑です。一週間経ってみて、彼らの無能ぶりはすっかり証明されたようです。

 事務局長に辞任を求める国際世論は大きいようですが、確かに新型肺炎へのWHOの対応をみると、防疫には全く役に立たず、一方で混乱を起こしています。「WHOは百害あって一利なし」と言われても仕方ありません。

 

シェンゲン域の人口は大きく、域内でも、域外との間でもヒトの移動が大変活発です。まずは域内への渡航制限、域外からの渡航制限が必要とされるところです。しかし UK や日本のように島国でもないので、制限するにしても大がかりになります。

 一週間前に最大の懸念があったはずの日本は、認知件数でアメリカに抜かれ9位。人口当たりの認知件数は26位と、世界ランキングがかなり下がってきました。

 

日本在住の個人なら、近い未来のヨーロッパ旅行は控えた方が良さそうです。数字を見る限りでは、日本国内の方がはるかに安全です。

 

3月10日追記

本日の朝には、ヨーロッパ=流行地というトーンのニュースが随分ありました。なお本記事でよりどころにしているサイト、「COVID-19 中国武漢ウイルス大流行」

Coronavirus Update (Live): 107,936 Cases and 3,665 Deaths from COVID-19 Wuhan China Virus Outbreak - Worldometer

でも住民100万人当たりの認知件数を掲載するようになりました。国別に比較するなら、当たり前ですよね。

 患者を数えるようになってから、かなり時間がたち、中国のように終息へ向かいつつある所、日本のように新規発生が低値安定している所、伊独仏のように爆発的に増えつつある所と、感染地の状況も様々になってきました。したがって渡航地が危険かどうか知りたいなら、認知件数総数ではなく、(人口当たりの)一日の発生数に着目する必要があります。当たり前のことながら、日々のばらつきは大きくなります。その点にはご注意を。

 

日本からの渡航制限

詳細は外務省のページに出ています。

https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html

日本より高密度に感染が見つかっているイスラエルは、日本からの入国を禁止するという滑稽な形になっていますが、一気に入国禁止処置に踏み込む国は小国に多いようです。医療に余裕がなく、何か起きると対応できないので仕方ありません。

 

日本からの渡航者が多い国では、先週インドが実質的に入国できなくなり、騒ぎになりました。また韓国が例によって妙な政治決断を行い、本日より発行済みビザの一時停止。これは例によって人知れず解除されるでしょう。

 マレーシアは意外と冷静。危険な地域をピンポイントで指定します。日本からは、入国14日前の後に北海道滞在歴があると入国禁止。雪見やスキーに行く自国民へも、入国に関して条件が付くはず。ロシアも北海道からサハリンへ渡った場合は、検疫施設に14日留置です。

 タイの対応は混乱気味でしたが、入国後14日間、自宅、ホテル等での自己観察と外出時のマスク着用の要請という形に落ち着いています。

 台湾もタイとほぼ同様。日本から渡航した場合、14日の自主健康管理。

 

その他の国でも入国時や滞在時、健康状態に疑いがかかったら、帰国勧告されます。国によっては勧告ではなく、強制退去や強制隔離になるのでくれぐれも注意が必要。

 

日本への渡航制限

渡航先に入国できたからと言って安心できるものではありません。帰ってくる時も問題。

 

本日9日0時より、入国後の行動制限が要請されるという形で、中国、韓国からの渡航が制限されるようになりました。これらの国全域が対象となります。日本の場合、強制隔離ではなく、運用は緩いのですが、勝手なことをすると個人の社会的評価を棄損します。もし事が起きたら10年ぐらい後ろ指を指されそうな気がします。大人しく国の言うことに従った方が身のためです。

 

総じて言うと、主要国間では双方向で移動が制限され、業務で渡航の必要がある人や海外駐在員は多大な影響を受けているはずです。現地業務に多大な影響が出る可能性があるため、駐在員出国禁止なんて措置をとる日本企業も多いようです。

 

政治に利用されそうな流行

さしあたって UK では Brexit に関する議論に使われそうです。もともとシェンゲン域ではなかったのですが、出入国は普段からきっちりしておく方が、防疫強化時に対応しやすいなんて意見も出そうです。コロナウイルス騒ぎは Brexit の得点になり、失点にはならないでしょう。

 トルコがギリシャ―トルコの国境に押しとどめている難民をエルドアンがもう御免と、国境開放へ踏み切った例の件にも影響がありそうです。コロナウイルスの防疫上、重大な問題があるなんてトンチンカンな理屈がフランスあたりから出てきそうです。

 

航空会社の対応

各国の渡航制限、入国制限などが旅客の輸送密度に直接影響する他、多くの人が旅行気分ではなくなるので、二重の負の効果があります。もともと過剰気味だった韓国の航空会社は、ほとんど営業できていないようですし、普通だったら業界再編成でしょう。

 

日系の場合、国際線はもちろんのこと、国内線でも減便が伝えられています。航空機内は2、3分でキャビンの空気が入れ替わるというぐらい換気速度が大きいので、客船や列車よりは感染しにくいと考えられます。移動手段としては一番安全と考えて良いのではないでしょうか。

 可能性は低いものの、新型肺炎に感染すると14日間職場に戻れないと二の足を踏んでしまう客が多いことでしょう。一方インフルエンザの罹患率が例年の3分の1になっている点は、旅行の追い風。テレワークで何とかなるとか、実は自分はお飾りかもしれないとか、毎日ハンコを押しているだけなんて場合は、職場を14日間離れても平気でしょう。旅行するチャンスです。

 

マレーシア航空も、セールを連続して打ち出します。

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今回は、価格も場所により若干下がりました。

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タイ当局の言いつけを守るなら、プーケットはちょっと旅行しにくいのですが、クアラルンプールならドタバタを忘れられるかもしれません。だって皆さん、新感染症は余りに政治がらみ。ウンザリしませんか。