感染の第2波も収束に向かいつつあります。それを受けて25日に日本全土で緊急事態宣言が解除されました。一方で部分的に自粛は継続、感染防止への努力を要求と、科学的には理が通っており、お上の指示としては歯切れが悪い状態になりました。政府はずいぶん前から、この歯切れの悪い状態への移行を予想していたようです。そこで「新しい生活様式」の提言を1月近く前に行ったわけです。
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました(新型コロナウイルス感染症)|厚生労働省
この程度の提言なら、お茶の子さいさいですね。むしろこの種の提言を国民に周知するという政策の発案が良かったと思います。程度が低いと言われることが多い厚労省ですが、良い仕事でした。
街の様子も少し元に戻りました。平時を100、一番自粛していた時を 0 とすると、30 ~ 40 ぐらいに感じます。皆さん慎重。こんな感じで、一人一人が感染に怯えながら、経済活動を元に戻す努力がしばらく求められるのではないでしょうか。
個人的にはお籠り消費をまだ続けます。ワインの在庫整理。
Joh. Jos. Prüm の 2005er Wehlener Sonnenuhr Auslese GOLDKAPSEL。この系統のワインも10年ぐらいで価格が高騰しましたね。Mosel, Saar の Auslese 以上は古い年のワインも市場に出ますが、その値段たるや凄まじいことになります。この傾向は割と昔から。オークションアイテムですから当たり前と言えば当たり前。
Joh. Jos. Prüm の場合、Goldkapselは畑の区画が違い、味わいはずっと深くなります。そして年とともに深味が増すのですが、酸の支えも強くなるためか、何故か軽やかな感じになります。
緑が抜けた黄金色。Rieslingらしいブーケを放ちます。甘味が分厚くなり、力強いワインになっています。これで15年。相当ゆっくり熟成しています。
この畑特有の変身ぶりを知りたいなら、Kabinett がおすすめ。Médoc の Cru Classés もそうですが、ケース買いし、年月をかけて消費するのが良いワイン。Kabinett だと5~10年で十分ですが、このワインだとその10倍以上の時間が必要なようです。
開ける必要がなかったワインでした。
ヨーロッパの感染の状況と行動制限緩和
EUは、先週ぐらいから本格的に行動制限を緩和し始めました。新型肺炎の感染が一時期に比べて落ち着いてきた一方で、いつまでも経済を停滞させるわけにはいかないと社会の合意が形成されたということです。この発想は日本と全く同じですが、非常に大きく異なる点があります。それは新規の感染件数と死亡者の数です。解除を進めている欧州での数は日本の流行最盛期より多いのです。例えば直近一週間の平日のドイツと日本のデータ。
ドイツのデータに1.52をかけると人口当たりの数として比較できます。死者の数で5倍ぐらいですね。向こうの政府の立場では、日本のレベルまで安全になるのを待っていては社会が完全崩壊するし、日本政府の立場では、欧州がリスクをとるのに、十分安全な日本がこれ以上安全を求めるのは馬鹿げているとなります。
こういうデータを見ると、疫病終息には「人々が恐れなくなる」という因子が確かにあることが分かります。また疫病のもたらす一番性質(たち)の悪い効果は、恐怖の蔓延という説も説得力があります。
先進のギリシャ
制限緩和のトップランナーはギリシャ。6月15日より日本を含めた29か国の観光客を迎えます。観光がGDPの2割を産むという産業構造とはいえ、大胆です。
Athènes dévoile la liste des touristes qui pourront venir en Grèce cet été | Euronews
早々に出かけ、思う存分羽を伸ばしていると、感染して帰国という可能性が高いので、注意が必要ですが、可能になったという事実だけで心が軽くなります。
政府の決定を踏まえたのでしょう。エーゲ航空も会員にメールを送ってきました。
少し前のエーゲ航空の降機時の写真。密ですね。単通路のA320ではこんなもの。ここ2、3か月でこうした光景にすっかり嫌悪感を覚えるようになりました。
天寿を全うできそうにない Tegel
夏のバカンスは何とかしたいと考えるのは、ドイツ政府も同じ。民族移動が戻ってほしいはずですが、首都空港の Flughafen Tegel は6月15日で廃業になる可能性が出てきました。
Corona: Flughafen Tegel (TXL) schließt, BER-Eröffnung rückt näher - Berliner Morgenpost
"Um Betriebskosten zu sparen, kann der wichtigste Flughafen Berlins am 15. Juni vorübergehend außer Betrieb gehen - wenn sich die Lage in den nächsten Wochen nicht deutlich verbessert."
新空港 Flughafen Berlin Brandenburg の開港日、10月31日が確実になったのは今回の疫病騒ぎの最中。もともと Tegel は、新空港開港後の廃港が決まっていました。疫病のため Tegel から旅客がいなくなる一方で、空港の維持に多額の費用が垂れ流しということで、前倒しで閉めようという発想になったようです。
2、3週間様子を見て決定するようです。"deutlich verbessert"がどの程度を意味するのか分かりませんが、劇的に回復しない限り廃港になりそうです。
まだ可能性の段階で、こんなことを言うは何ですが、個人的には寂しい限り。
マイレージプログラムでは改悪も延期
Lufthansa 他のマイレージプログラムの Miles & More は、改悪が予定されています。マイルは航空券価格から計算され、上級会員基準は搭乗キャビンクラス4種と距離2段階のポイント制になり、搭乗マイルは全く関係ないプログラムになります。その内容は昨年11月に記事にしました。
上級会員への道程を変えるMiles & More - バス代わりの飛行機
改革が発表されたとき、新プログラムへの移行は2021年1月1日と発表されていました。これが「コロナ危機」のため、2022年1月に延期されます。先週末のニュースです。
Lufthansa-Bonusprogramm: Wer vom Aufschub der Miles-and-More-Reform profitiert
"Die Gute Nachricht für alle Vielflieger zuerst: Die Lufthansa-Tochter Miles and More verschiebt die umstrittene Reform ihres Bonusprogramms aufgrund der Coronakrise um ein ganzes Jahr auf Januar 2022."
記事ではボーナスプログラムと呼んでいますね。"die umstrittene Reform "(議論の的になっている改革)と言いつつ、その実施の延期が、”Die Gute Nachricht für alle Vielflieger”(よく飛ぶ客全てに良いニュース)ですから、当地では改悪という評価が普通である模様。
Miles & More でもステータスの一年延長は決まっていますが、プログラムの改革も一年遅らせました。時計が一年止まったようなものです。