3月25日(水)、外務省は世界全体を感染症危険情報レベル2に指定しました。海外出張が頻繁にある会社にお勤めの方ならお馴染みのはずですが、レベル2とレベル1では許される渡航の必然性が大きく異なります。
そもそも国境を封鎖している国がかなりの数にのぼっています。こっちでは行くな、向こうでは来るなです。事実上海外旅行ができない世界になりました。日本では「海外旅行自由化」の1964年以来、初めての事態なのではないでしょうか。
欧州の空港
日本の外務省がレベル2対象国を全世界に拡大した日、ADPはパリ Orly 空港を3月31日に閉鎖すると発表。
Face à l'effondrement du trafic, ADP va fermer Orly | Les Echos
Charles de Gaulle 空港も 2E の K サテライト、2F、そして必要次第で 2A と、限られたターミナルしか営業していません。ターミナル 1を使っていたスターアライアンス各社は、もし着陸できたらターミナル2を使うことになるのでしょう。
ADPのウェブサイトは、僅かな間に事態が急速に進行したことを伝えます。明日は我が身ですかね。
ベルリンでは、Tegelは閉鎖間際と考えられています。
Streit zwischen Bund und Berlin: Soll Flughafen Tegel schon bald schließen? | aeroTELEGRAPH
フライトがほとんどなければ空港に来る客は消えるので、これは当たり前。
一方ロンドン Heathrow はまだ営業を続けているようです。すべてのラウンジを休業するなどと言うニュースが出るぐらいですから、独仏に比べると随分ましです。
Coronavirus: London Heathrow has now closed all airport lounges - Executive Traveller
ミクロに見ると、今 The Concorde Room Card は無価値になっています。
航空会社の営業
CXが96%、SQが95%のフライトを取りやめたと発表され、ショックを受けた人も多いと思います。確かにこの数字では、開店休業中ですね。TKは5路線を例外として、全ての国際線を運休*。LOT や Brussels Airlines などのように100%運航を取りやめて、本当に休業してしまった会社もあります。
*:その後トルコが国際線発着を禁止してしまったので、TKも当然国際線は100%運航停止。
各社が個人客にどう対応しているかをばらしましょう。すべて Pechedenfer の体験に基づいています。CXはフライトの出発日次第で、無料の予約変更に応じてくれます。キャンセルするなら特別の計らいはなく、払い戻しは予約時の規則に従います。明らかに現金の流出による資金ショートを恐れています。
MHも同様ですが、こちらは予約をキャンセルして、予約に相当するクーポンへの交換となります。このクーポンは目下のところ2020年内に利用しないといけません。
BAは5月31日までのフライトの予約は、キャンセルして同等のバウチャーに変更できます。BAが欠航を決めた場合、いつもなら別のフライトを勝手に指定してきますが、今回は欠航の連絡だけ。客の方でBAに働きかけ、再予約するか、払い戻しを受けます。
JLは予約期間や出発日の条件を満たせば、ほとんどの航空券が払い戻しを受けられるはずです。資金は一応あるのですね。意外と貯め込んでいる JAL。
なお一般にコールセンターは、いつにも増してつながりません。
日本の国内線すら
空いています。減便の様子は前に書きましたが、それから状況はあまり変わっていません。
空港アクセスも異常で、定員60人(含補助席)のハイウエイバスを一人で貸切りなどと、グレタ**が真っ赤になって怒りそうな事例も稀ではありません。快適、贅沢、安全なのは良いことですが、世界の先行きに不安が膨らみます。先週末、実際に起きた貸切りハイウエイバスの車内を記念撮影しました。
**:体調を崩し、コロナウイルス感染を疑ったようですが、現在快癒しつつあるようで何よりです。しばらくは、彼女がいなくなると世界がつまらなくなります。
会員ステータス
Bonvoy の会員資格が更新されました。なぜそういうことにしたのか、理由が想像できない 2段階落ち。また今この時期というのも理解困難。なんとも中途半端なやり方です。昨年1月1日から0泊なので、実質的には何も影響はありません。
航空会社、ホテルチェーンでは会員資格を1年延長というところが増えてきました。開店休業期間が長引くと判断したのでしょうか。
Qantas Frequent Flyer Status Extension
BAは相変わらず何も言ってきません。疫病の終息を待って遡及的に救済するのでしょうか。毎月毎月 全体の8%の会員が資格切れになります。そう悠長なことは言っていられないはず。終息まで現在の運航状況が実現するなら、搭乗期間を指定してTPを2倍ですかね。しかし一度消えた会員資格を復活するというのも面倒です。
救済なしかもしれません。何となくそんな気がしてきました。しかしそうなったら、AA、CX、QR などが黙っているはずなく、激しくステータスマッチのオファーを行うと思います。レベル落ちしたBA会員は「誰か私を拾って」状態になります。ow内の会員人口動態には要注目です。
そしてJAL
そんな中、JAL は ANA の後追いをし、FOP2倍キャンペーンを開始しました。7月末までの半年間ですから、ANAとは一月ずれています。
https://www.traicy.com/posts/20200325149989/
ANAとほとんど同じキャンペーンを後から出したのですから、ブランド棄損が少し痛いといったところ。
運休の程度が今のままで推移、世界が元に戻れば、2020年は修行僧にとって記憶に残る楽勝年になります。そうなろうがなるまいが、3月末にサファイア到達を予定していた多くの修行僧が、思いがけずプレミア会員、ダイヤモンド会員に。笑いが止まらないことでしょう。名づけて DP 促成栽培。
一方で回数修行派に優遇はないようです。JALに電話して、主旨も論旨も理解不能なクレームを展開する会員が続出していることでしょう。この種の雑音の発生は JAL の伝統。毎度のことと、流れ作業で軽くお片付け。多くのUUUを抱えていた時代を知る社員も少なくなったはずですが、「きたえた耳は、強い」のです。
もっとも国内でも疫病が蔓延し、ヨーロッパ並みの社会封鎖が敷かれるとフライトどころではなくなります。すると FOP 2倍でも低調な年になり、年末にはダイヤ陥落の悲鳴があちこちから聞こえてくることになりましょう。
いろいろなリスクが待ち構える中の FOP 収集。秀逸なドラマがあちこちで生まれることでしょう。全ては不確実に見えますが、JAL利用者にとって一つだけ確実なことがあります。それは、
運航停止になる前に搭乗しておけ
これはさらに次の定理の補題になっています。(嘘)
肺炎になる前にクレームしておけ
話ついでに。今年の JAL は感染防止にため新たにコストをかける一方で、感染防止のためコストがかかっていたサービスを中止しています。大義名分を得て、経費のバランスをとっているように見えます。ラウンジのビーフカレー(国際線)も、ファーストクラスの毛布も廃止(国内線)。無い無い尽くしで営業を続けます。
そして JAL 名物、コストゼロ、真心ゼロの「申し訳ございません。」は、客のクレームを待たずして積極的に発せられるようになりました。✖✖が無いときょろきょろ探して、「あれ~」まで言った途端、「申し訳ございません。」の先制攻撃があります。今年はアグレッシブに攻めの姿勢の JAL。