PECHEDENFERのブログ

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JAL生涯マイレージのトップティア

発表された新基準は、JAL 国際線搭乗 200万マイルまたは JAL 国内線搭乗 2,250 回。

JGC Life Mileage (JALグローバルクラブ) - JALマイレージバンク

私の情報網では、独自に知りえるわけもなく、時々お世話になっている牡蠣フライさんの tweet で存在を知りました。

牡蠣フライ on Twitter: "国際線200万マイルor国内線2250回かぁ〜。
合算なら射程距離だけど。"

ただし、twitter のやり取りから想像されることと異なり、すでに公式発表されていました。

 

JALの生涯マイレージプログラム

しばらく前から JAL グローバルクラブでは、生涯マイルがキリの良い数値に達した会員に荷札などの記念品をプレゼントしていました。こういう生涯搭乗実績による優待は、ミリオンマイルプログラムともいわれます。ANA も行っていますが、世界的には United のプログラムが有名です。

 

ミリオンマイルプログラムがある会社では、BA, AF や QF のような生涯会員制度を持たないのが普通です。前者のプログラムは上級会員制度とは距離を置き、特典も別に用意するのに対し、後者の生涯会員は上級会員資格の永続化です。顧客の立場では趣が異なりますが、マーケティングとしては大きな差はありません。英米の「よく飛ぶ人たち」は、同じカテゴリーで語ります。

 

さて JAL グローバルクラブでは、国際線搭乗 25万、50万、75万、100万マイルに到達した会員にそれぞれ色が異なる荷札を送っていました。形が六角形というか六角柱なので、愛称は亀タグ。確か後日、15万マイル用の荷札を追加。これは平凡に長方形です。

 亀タグは荷札としてはかなり存在感があり、空港、機内で時々(というよりしょっちゅう)見かけますが、皆さん誇らしげにぶら下げています。誇らしくなければ装着しないだろうという理屈はさておき、多くの人が使いたくなるほどには立派なつくりです。

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頂点は極めても、最上位は遥か彼方という JGC の仕組み

さて国際線 100万マイル達成では、黒亀タグ贈呈以外にかなりの内容の特典が提供されるようになりました。

・同行家族人数無制限ラウンジ招待

・家族用サクララウンジクーポン

・家族 3名をJGC本会員へ招待

・マイル有効期限の廃止

などです。

 これらの特典は昔はなかったように思います。いつ始まったか知っている方がいらっしゃったら、お教えいただけると幸いです。

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100万マイル達成は、他の亀タグ組とは明確に区別されます。”JGCの頂点を極めし輝きとして「JGC Five Star」のご案内をさせていただいております”と JAL は説明します。美辞麗句を通り越し、仰々しいプレゼンテーションです。「JGC5スター会員○○様のおな~り~」なんてチェックインで銅鑼を鳴らしそう*な気配すらしますが、そんなことは絶対ないはず。

*:バリには、到着すると銅鑼を鳴らして迎えてくれるホテルがあるので、あながち極端な地上サービスとも言えません。

 

さて JAL によれば、JGC の頂点を極めた人間の証が Five Star になるわけです。しかし、「それを何だ、舌の根も乾かないうちにその上をつくるとはどういう了見だ。」という JGC クレームは想定していないのか、国際線 200 万マイルの資格も作ってしまいました。

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「最上位の国際線通算搭乗マイル200マイル...をご達成頂いたお客様は...」とあり、日本語は破綻気味。とにかく JGC では頂点を極めることと、最上位の達成は別の概念であることがわかりました。門外漢には意味不明です。

 そんな門外漢でも指摘できる弱点は、特別な名前がないことですね。JGCの頂点を2回極める搭乗実績に相応しい名前を期待します。一部の無粋者によって JGC-2M とか、5 Star 2M なんて色気がない名称で呼ばれる前にお願いします。

 それから亀タグとは一線を画すため、眩いばかりの荷札も必要です。

 

さて特典内容は JAL にとってはあまり痛くないけれど、会員には垂涎の的になりそうな内容。生涯に渡り、JAL便利用時にJALファーストクラスラウンジとダイヤモンドプレミアムラウンジが利用できると言うもの。今公表される特典はそれだけ。JGCになれば、JAL便利用の場合サクララウンジが生涯使えます。生涯マイレージJGC のプログラムなので、JGC の会費は払い続ける必要があるし、冷静になって考えると200万マイルではラウンジのグレードが上がるだけです。しかしこのように実利だけで物事を捉えのは、心が貧しいというもの。達成の証という点からは、価値は異なります。

 

国内線搭乗でも頂点を極めし輝きと最上位ご達成は可能

良く知られていますが、JGC 生涯マイレージプログラムは国際線搭乗マイルと国内線搭乗回数の2基準です。どちらでも構いません。一方国際線搭乗回数と国内線搭乗マイルは一切考慮されません。つまり国際線利用と国内線利用の「合算」はできません。基準を整理すると以下の通りとなります。

国際線(マイル) 15K 25K 50K   75K 100K  200K

国内線(回数)  300 500 750 1,000 1,250 2,250

 

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あさましくBAの生涯ゴールドと比較

BA と JAL が今の協力関係にある限り、BAの生涯ゴールド会員も国際線 200万マイルの特典(公表分)が享受できます。どちらが達成しやすいでしょうか。JAL 利用客のシミュレーション。

 

(1) JAL 国内線利用の場合

JALの会員は自由度が大きい航空券で普通席を利用することが多いのですが、この場合 BAにつけると 3,500 回の搭乗が必要です。JALでは 2,250 回ですから、圧倒的に JAL が簡単。

 BA 会員が会員資格のためと口実をつけ、ちょこちょこ行う贅沢がクラス J 搭乗。この場合 BA では 875回の搭乗で生涯ゴールドとなり、かなり楽になります。

 

(2) JAL 国際線利用の場合

BA の制度設計はどうも 3,000 マイルのフライトを中心に考えたようなのですが、この場合ほどほどの割引エコノミーの TP は 35。すると生涯ゴールド会員基準の 35,000 TP 達成時には、3,000,000 マイル搭乗しています。これは JAL 基準の1.5 倍にもなるので、JAL の圧勝。計算してみると571マイル以下の短距離路線でないと、ほどほどの割引エコノミーで BA が有利になることはありません。これだと路線は相当限られます。なおビジネスクラスしか乗らない贅沢な方の場合、BAの搭乗距離は 4 分の 1。相当少なくて済みます。

 

なおこういう数値以外にも JAL、BA それぞれ特徴があり、

・BA と JAL はあくまで提携関係。JAL 利用時に BA のゴールド会員資格が意味を持たなくなる可能性は、JALJGC が消滅する可能性よりはるかに大きい。BA の生涯会員は、将来日本で資格が無意味になるリスクをかかえる。

JAL の生涯マイレージJAL(グループ)便の利用だけが評価される。一方、BA の TP はワンワールドの全航空会社の搭乗で獲得できる。つまり JAL 就航地以外にしばしば行く場合、BA の資格達成の方が早い。

JALJGC のプログラムであるため、JGC会員を続ける必要があり、生涯にわたる特典は生涯にわたる年会費払込を意味する。一方で、BAはタダ。しかし死んでいないことを証明する必要があり、たぶん定期的な利用が必要。ところが日本からの利用一回で税金・空港使用料・サーチャージなどが、JGC の年会費以上、下手をすると 3倍以上にもなる。

 

これらの条件も考慮すると、結局正論しか出てきません。将来にわたって JAL の利用が頭にあるなら、余計なことを考えず

 

JAL マイレージバンク入会 → 一定レベル以上の JAL カード(クレジットカード)作成 → サファイア到達 → JALグローバルクラブ入会 → 飽きてもひたすら死ぬほど JAL に搭乗 → 二百万マイル到達か 2,250 回搭乗達成

 

という過程を経る方が有利でしょう。10年間で達成するなら、ロンドン往復年16回+α とか国内線年 225回です。とてつもないJALユーザーですが、この界隈を賑やかにするためにJMB 会員の皆さん、修行よろしくお願いします。