フィンエアは4月下旬羽田に就航
していたはずでしたが、実際には6月になったようです。これは夜行便です。
AY062 HND 2:30 → HEL 5:30
AY061 HEL 0:10 → HND 16:35
という感じになります。冬スケジュールから、目的地がスペインのマラガでもきれいに接続するようになります。HEL のネットワークでは、調整が続けられているのですね。
マラガの場合、往路でのヘルシンキ接続時間は2時間30分と理想的になります。
帰路はヘルシンキの接続時間は 6:10 で長めですが、日本各地から国内乗継ぎで海外に向かう方なら、羽田、成田で経験したことがあるだろうという程度の時間。
フィンエアを利用する日本人の大部分は、ヘルシンキ乗継で欧州各地へ向かいます。羽田線のスケジュールはすばらしく、フィンエアがこの便への接続を調整し続けている事も頼もしい限り。
世界中にハブ空港は存在
し、乗継ぎの必要性は現在でも高いのです。その場合、地理的な条件がフライトスケジュールを大きく左右します。HEL と HND をハブとして見ると、HEL は欧州の東北端で、北東アジアと欧州を結ぶ直線上にあります。例えば
つまり北東アジア各地と欧州各地を接続するハブとして、HEL は非常に強力なのです。
一方 HND はユーラシア東端で、欧州から来て乗継ぐとしたら、ハワイ、ミクロネシア、ポリネシアなどになります。例えば
HEL-HND-NOU は、HEL-NOU とほぼ同距離
しかしながら欧州―太平洋島嶼への輸送密度はあまり大きくありません。むしろ島国という要因から、日本国内線が重要です。
ヨーロッパは広く、長距離フライトは2,000マイル、4時間半ほどにもなります。また一日一便しかない路線の場合、朝母港を出て昼過ぎに到着、午後に折り返し、夜に帰着というパターンが多いのです。上記のヘルシンキ ― マラガ線は、まさにこの例になります。一方で東京発の日本国内線は距離も短く、夕方~夜発でもかなりの都市へ到着できます。太平洋の島々の中では需要が高いだろうハワイ便も出発は夜~深夜です。
こういう事情を考えると、日欧のフライトは欧州到着は早朝、羽田到着は午後~夕方とするのが乗継には有利。つまり
欧州を夜~深夜発 ― 羽田に夕方着、羽田を深夜発 ― 欧州に早朝着
という往復をセットにすると2つのハブはそれぞれ効率的に機能します。フィンエアはまさにそのパターンになろうとしています。
従来からある成田便は HEL 17:45発 ― NRT 9:10着、NRT 11:00発 ― HEL 15:00着。日本各地からは東京や成田で前泊が必要だったり、欧州便への乗継時にヘルシンキ泊が必要だったりします。この空港地泊は羽田接続では大方必要なくなります。
日欧の夜便と言えば、エールフランス
だけだった時代が長く、欧州各都市への移動をかなり担っていました。昔は成田便でしたが、羽田空港の再国際化後ほどなく羽田発着になりました。そして今、フィンエアの夜便の挑戦を受けています。
日欧 JV によってフィンエアに JAL 国内線網が接続する点は、AF も JAL との提携があるため、大きな問題にはなりません。しかし
・飛行距離の短さ
・ハブでの接続の良さ(AF のハブはパリだが、CDG 以外に ORY もある)
・ハブ空港のサイズ(巨大な CDG よりコンパクトな HEL の方が乗継は便利)
の点では、フィンエアに軍配が上がります。エールフランスが勝る点と言えば、言語と文化に親しんでいる人間が圧倒的に多いこと (注) ぐらいしか見つかりません。フィンエアの夜便が AF293、AF274 の客を奪うことは間違いなく、ポストコロナの旅客回復時には勝敗がはっきりするでしょう。
注:日本においてフィンランド語をしゃべる人数とフランス語をしゃべる人数は、比べるまでもありません。そして機内でサルミアッキとマカロンを選択にしたら、サルミアッキを選ぶ人はどのぐらいいるのでしょうか。カクテルにも使えるし、機内にはサルミアッキを積んでいるかもしれませんが、積極的にサービスされているのでしょうか。その気になって観察したことがないのでわかりません。