PECHEDENFERのブログ

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JAL国内線の改革

 

昨年から JAL 国内線のマイレージや運賃について大きな改革が進行中です。

 

特典航空券の発券時に施設使用料

2021年10月31日申込み分から実施されているので、すでに徴収された方もいらっしゃるはずです。

国内線特典航空券における国内線旅客施設使用料(PFC)対象空港発着路線の必要マイル数改定について(2021年10月31日お申し込み分より) - JALマイレージバンク

航空券を購入する時、空港使用料や税金を航空券料金とは別に徴収されることはよくありますが、マイルによる特典航空券の場合はいろいろ。JAL 国内線では今まで免除されていました。それをマイルとして徴収することになりました。必要マイルは以下の通りです。

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出発空港、到着空港共に徴収と言うところがミソ。現在は羽田―伊丹の片道利用で550マイル必要です。5月以降は 710マイルに値上がります。A 区間の特典航空券には片道 6,000 マイル必要なので、客にしてみれば値上げ、値上げ幅は現在 9%、直に12%。

 

最も便が多い B区間は航空券分だけで 7,500 マイルですから、BAの Avios で特典航空券を発券する時と数字の上では同じ。ただし Avios を利用すると、空港使用料はかかりません。BA 有利ですが、JAL国内線では供給席数が他社では圧倒的に少ないようですので、この程度の差はほとんど問題になりません。

 

特典航空券の必要マイルは区分が7つに、残席数による変動性も導入

2023年4月12日搭乗分からだそうです。現在特典航空券に必要なマイルは、区間距離に応じて3段階の設定があります。これが7段階に細分化されます。

 さらに本来設定された特典枠が無い場合でも、予測されるキャビン残席数に応じて最大4倍程度のマイルで航空券が獲得できるようになります。航空需要の変動に柔軟に対応できるので、合理的な改善だと思います。

 同時に乗り継ぎ旅程のマイルの設定、ファーストクラスの特典航空券が設定されます。発表の通りだと改悪の要素はなく、利便性は大きく向上します。しかし距離区分の細分化は、必要マイルの値上げとセットになる可能性が高いと思われます。

 

運賃区分の簡略化

国内線運賃は自由化以前から複雑でしたが、JAL は現在9種類あるそうです。確かに複雑すぎですね。これが 2023年4月12日搭乗分から、3種類を軸に構成されると報道されています。普通運賃のフレックス、現在の特便割引1に相当するセイバー、28日前までに購入できる現在の先得割引のようなスーパーセイバーと、名称も国際線なみになります。

 単純化は歓迎できますが、客としては値上げを心配せざる得ません。しかし国内線はまだまだ規制があり、高い運賃が維持できているので、大きなショックはないものと予想しています。

 

細かい所では払い戻しという制度が廃止され、取り消し手数料に一本化します。また現在クラスJとファーストクラスの料金はそれぞれ 1,000円と 8,000円の定額上乗せですが、これが独立した料金設定になるということです。こちらは実質的に値上げになると思います。

 一方、乗継は現在のところ基本的に割引されず、区間ごとの航空券料金の和を支払いますが、(セイバーの場合)5%割引になるとのことです。

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BA エグゼクティブクラブの会員としては...

JAL マイルの利用はともかく、運賃の改革に伴って心配な点が二つあります。一つは羽田-中部、-小松、-山形、-伊丹などの近距離路線のクラス J が値上がりすることです。+3,000円は全く不思議ありません。Tier points 狙いでこうした路線を多用する会員がいらっしゃたら、注目しておいた方がよい気がします。

 

もう一つは予約クラスが刷新されることです。セイバー料金、スーパーセイバー料金がエグゼクティブクラブで加算対象から外されるかも知れません、この場合、日本在住の会員への影響は甚大で、エグゼクティブクラブに見切りをつける会員は非常に大きな数になると思われます。

 ごく一般的に言うと、国内線の割引運賃は提携各社のプログラムでマイル加算対象にならないことも多く、実際フライングブルーで JAL国内線が加算されるのは事実上普通運賃だけです。

 そこまでドラスティックでなくても、クラス J は普通席と同じエコノミークラスの予約クラス、ファーストクラスはビジネスクラスやプレミアムエコノミーの予約クラスが適用される可能性があります。アメリカ国内線の「マーケティング上の」名称と同様のシステムです。

 

悪いことには、国内線予約クラスと運賃区分との対応は明らかにされません。世界中で複雑、不透明なのです。今度の運賃区分の変更についても、他社プログラムで加算されるかどうかなんて、新運賃で購入、搭乗するまで未知のままでしょう。

 

エグゼクティブクラブの会員としては、来年 4月以降の成り行きに注目せざる得ません。ここのところ JAL 側、BA 側双方向から制度変更が行われ、JAL 国内線利用のメリットがどんどん減少している状況を考えると、良い変化は望み薄です。壊滅的な変化にならなければ、それで結構ぐらいに構えていましょう。