PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

BA エグゼクティブクラブ遠隔利用 tips (4)

 

価値の摩滅とスイートスポットの消滅

ステイタスやエリートなどと呼ばれる顧客プログラムの会員レベル。米国大手航空会社では、

 

・利用実績が金額で量られるようになり、過去数年間で必要費用が高騰した

・多くの特典が都度払いオプションとして一般客でも購入可能になった

 

の二点が原因で、会員の心離れが急速に進んでいるようです。ステイタスが排他性を失った結果、費用便益だけが問題となり、ペイしないとなると制度自体から関心が失せるのは当然。著名ブロガーも15年間エクゼクティブプラチナを続けてきたが、今年の結果は意識しないと宣言しました。価値の摩滅を例証しているようです。

 

日本では規制が強いためか、まだまだ利用自体を充実させる必要があり、顧客プログラムはここまで荒廃していません。ただし JAL がライフステイタスと称して関連クレジットカードのプログラムを大幅拡充したように遷移も見られます。

 

ブリティッシュエアウエイズも含めて欧州系の会社は、米国と日本の中間ぐらい。支払金額がモノを言うようにはなっています。ただし欧州プログラムでは、日本会員はマイナーな存在。本拠地の会員、あるいは大口である米国会員の利用を考えて制度設計がなされる裏で「忘れられて」おり、利用しにくい点も特権的なメリットも見つかります。

 この日本在住のメリットを活用することが、外航プログラム利用の醍醐味。BA のエグゼクティブクラブでもワンワールドが媒介する JAL のサービスに見られたのですが、

 

・日本でも会員が増えて、それほどマイナーではなくなった

・脱アライアンス(自社会員へのサービスを充実する動き)が顕著になってきた

 

の潮流のためか、またスイートスポットが一つ消えそうです。何の話をしているかというと、JAL 国内線クラス J の料金の暴騰。

 

クラス J の料金

しかしワンワールドは関係なくて、JAL の価格戦略の変更が原因なのかもしれません。2004年に導入されたクラス J は、そもそも +1,000 円で利用できる広めのシートでした。2021年頃までその性格を保っていましたが、それ以後の値上げが苛烈で、2023年も段階的に上昇しました。現在12月初頭まで価格が設定されており、最大ドル箱路線では

羽田-伊丹 8月 20,699円、9-10月 20,565円、11-12月 19,520円

がベース価格。数種のパターンがあるようですが、11月のいくつかの便はすでに 32,000 円台です。

 

2019 年冬までは先得割引で 10,000 円未満でした。9月上旬に購入した11月17日(日) の航空券の例。

大雑把に言って価格は倍です。なお F のベース価格は 2020年には 22,000 円台でしたが、現在 35,000 円台になっています。

 

上記の通り、JAL はパンデミック明けに国内線の料金体系を単純にしましたが、

・普通席はベース価格をほぼ維持、たまにセールで大きく割引

・クラス J は大幅値上げ

・F も値上げ

・運航日が近づくとクラス J も F も値引きが入ることがある

となりました。もっとも大きい変化は、早期購入が安いという原則を放棄して当初から高く設定するという先祖返り。席が余りそうだと値下げで売ることになります。

 

現実にどのぐらいで買えているかというと、私の場合、クラス J は 16,000円台の購入が増えています。前日に買っても事前に買っても状況はほどんど変わりません。F は (おそらくたまたま) 25,570 円で購入できています

 

毎年の BA 4搭乗が唯一の海外旅行という日本のエグゼクティブクラブの会員なら、クラス J の値上げはティアポイント獲得にかなり影響します。ステイタス維持のための費用も暴騰。

 

安いクラス J は?

幸い他のJAL 国内線の値上げはここまでひどくありません。例えば

羽田ー山形 8-9月 11,850~15,940、10月 13,223~15,940、11-12月 12,910~15,940 円

という具合。この路線は 2020年まで 9,000 円弱で購入できました。つまり 4-6割増し。

 羽田-小松はこれより高く 17,500 ~ 18,100 円台がベース価格で、連休では時に 20,000円越え。少々席が取りにくい羽田ー名古屋セントレアは 15,400 ~ 17,000 円台がベース。

 

ダイヤモンド修行でおなじみの沖縄「島めぐり」でもクラス J は値上がっています。

那覇宮古 8月14,100、9-10月12,900、11月 13,600、12月 14,700 円台

がベース価格。那覇-石垣もほとんど同じで、施設使用料の差がある程度。連休が絡むと少し高くなります。

 

クラス J の設定が一日一往復しかない短距離 (60 mi) 路線では

那覇久米島  8-12月 11,108~12,362円

と価格は安定しています。

 

ベース価格を見ると、東京圏に住む BA 会員が TP 稼ぎを意識するなら HND-GAJ が狙い目ではないでしょうか。どの路線でも安い運賃が出現する可能性がありますが、ある程度の量を搭乗しなければならないため楽観はできません。

 

当日現金でアップグレード

これが最も安くなる可能性が高いのです。最近は普通席でセールを行うため、航空券は安く購入できます。例えば羽田-伊丹片道で 8,800 円ぐらいですね。クラス J に空席があれば 1,000 ~ 3,000 円(この路線の場合 2,000 円)支払ってアップグレードできますが、JAL 国内線では、アップグレードにより航空券が搭乗キャビンクラスの予約クラスへ変更になるようです。

 

問題点は以下の通り。

(1) クラス J が予約で埋まらない便を狙って予約するため、手段が減ること。羽田ー伊丹でも可能性はありますが、「予約で満席」というアナウンスを聞くことが多くなっています。

(2) 不確実なこと。普通席の予約便でクラス J のアップグレードができない場合、次の便を待つこともできます。空港滞在時間が長くなり、修行っぽくなりますね。

 

資金の節約はしたいけれど、時間は余っている方、旅よりも修行をしたい方向けの方法のようです。現在セール中ではありませんが、那覇久米島では普通席が片道 5,630円で見つかります。1,000 円のアップグレードに成功したら TP 単価は 160 円台に下がります。一日一往復のクラス J 機材。自宅から沖縄までの料金とか、宿泊料金に言及しなければ、この数字で注目を集められます。ソーシャルメディア向きですね。

 

 

結論

日本在住の会員は BA ゴールドやシルバーの維持に費用がかかるようになります。JAL の国内線の価格設定法が変わり、現在提示されている価格が将来下がる可能性もある点は厄介です。