アンカレッジ経由北極ルートが華型だった頃、フランクフルトは (西)ドイツの空の玄関でした。当時はターミナル1しかなく、中央ビルの地上アクセス面の反対側に放射状に延びた4つのピアがあるのみ。左右のピアはコンコースの左右に、中央の2つのピアはサテライトビルを囲むようにゲートが配置されていました。建築の基本は、成田空港の開港時のターミナルと同じです。
1990年代初頭に忌々しいターミナル2ができ、さらに長年にわたるターミナル1の大規模拡大・改修を経て、現在ターミナル3を滑走路を挟んだ空港南側に建設中です。
PHOTOS: Frankfurt's Terminal 1 celebrates 50 years - A Visual History of the World's Great Airports
滑走路も増やしているし、アクセス鉄道も近郊列車用と長距離列車用にそれぞれ駅を増設しました。バランスよく順調に拡大しています。
それでも空港の中心は相変わらずターミナル1。ルフトハンザグループ、スターアライアンスの航空会社が主に利用します。JAL だとか、AF や BA などは不便なターミナル2を発着。
公共交通機関による空港アクセス(バス、鉄道)はターミナル1で。
ルフトハンザはこの空港に11ものラウンジを持ちます。すべてターミナル1にあり、ルフトハンザのファーストクラス用ラウンジが1つ。セネターラウンジが A, B, C, Z の区画に1つずつ、ビジネスラウンジは A と B に2つずつ、Zに1つ。その他にビストロラウンジが C に一つあります。
よく知られていますが、セネターラウンジは Miles & More のセネター会員とスターアライアンス加盟各社のファーストクラス用ラウンジ。ビジネスラウンジはビジネスクラス用ラウンジです。スターアライアンスゴールド(*G) 会員は、セネターラウンジを利用できます。
セネター会員の資格には、年間 100,000 マイル級の搭乗が必要です。ANA のダイヤモンド会員に相当する会員レベル。一方でエーゲ航空で *G を維持するなら年間12,000マイルで OK。SFC については言わずもがなです。ルフトハンザはスターアライアンスの安定と拡大のために、広く他社に施設利用させているわけです。
客の立場では、この状況を最大限活用するのが正しい態度。ということで、行ってきましたセネターラウンジ。
ラウンジ前に係員がいて、搭乗券をチェックします。入室後すぐにカウンターがありますが、そこは空港やルフトハンザの案内でしょう。
A321-200の模型が客を迎えてくれます。
すぐ隣が新聞のコーナー。SZ, FAZ, Die Welt すべてそろいます。土地柄 FAZ を手にする人が多いようでした。
ホールは中規模。セネターラウンジだけで4か所あるので、十分なシートを供給しています。
日本では特徴的な、窓側への人の集中は見られません。文化の違いです。
なおこの奥の一角にも新聞と雑誌の棚がビルトインされています。
今時ワインの雑誌がないのは、特徴といえば特徴かもしれません。
入口から着席ホールへ向かうエリアは、食料の台、PC利用者の長机、カーペットや隔壁で吸音性を高めた会話エリアがあります。
この辺りにあるソファーは皮の香りが上品で、そこそこの品質の家具です。
オーストリアではさらに顕著になるパブリックスペース内の静かな空間。こういう空間を設置するのはドイツ語圏のよいところ。
食物はドイツの一般的な食事(パン、スライスチーズ、スライスソーセージ、スライスハム)に加え、生野菜、ヨーグルト、シリアルなどもあります。スクランブルエッグ、ゆで卵、豆料理、ソーセージ、揚げ芋、加熱トマトのホットプレートは朝食モード。
調味料、ジャム、味付けピクルスの類は数多くあります。
かごに入ったバナナ、リンゴなどのフルーツが入口(出口)付近にも置かれるのはドイツ風。
酒の種類は多く、これは時間帯は関係ないようです。ワインだけで 9種類ありました。地元ワインへのこだわりは全く感じられません。
コスト重視ですね。
こんな一角で静かに一時間過ごしました。
ラウンジ内で提供される食料の種類や、置かれた酒の値段に関心がない方には、セネターラウンジの良さがわかると思います。待つというラウンジ本来の機能を考えると、上等な時間を過ごせます。こういう原理原則を外さないなら、ルフトハンザはまだまだ大丈夫。