PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

エーゲ航空の現状

 

2022年末にエーゲ航空を利用してみて、気がついたことをまとめました。

 

ドイツーギリシャ輸送が命綱?

エーゲ航空のラウンジで待っていて気が付いたのですが、ドイツ便が出発する前に混み、出発するとガラガラになります。路線を調べるとアテネ発の定期便は、AXD, AMS, BCN, BEY, BEG, BER, BLQ, BRU, OTP, BUD, CAI, CHQ, CPH, CFU, DUB, DUS, EDI, EIN, FLR, FRA, GVA, HAM, HEL, HER, IOA, IST, ADB, JED, KGS, KRK, LCA, LIS, LHR, LUX, MAD, MLA, MAN, RAK, MXP, MUC, JMK, MJT, NAP, NCE, OSL, PFO, CDG, TGD, PRG, RHO, RUH, FCO, JTR, SKP, SOF, ARN, SXB, STR, TBS, TLV, SKG, TIA, VCE, VIE, WAW, EVN, ZAG, ZRHへ就航しています。ギリシャ国内の島々、欧州中の首都や近東の大都市との路線が多いのは、ギリシャの騎手らしいところ。そのため就航地の数はかなりの数になります。また西欧の都市を見ると、ドイツの6は英国の4、フランスの3より確かに多いといえます。見えにくいのですが、ドイツの各都市への運航頻度は高いのが特徴です。

 

第二のハブ空港であるテッサロニキの就航路線を見ると、ドイツ重視の傾向はさらに顕著です。就航地の半分がドイツ。ドイツのためにハブを作ったと言われそうです。

 

定期便が ATH, BER, BRU, DUS, FRA, HAM, LCA, MXP, MUC, FCO, STR, TLV, ZRH,

季節便が HAJ, NUE, CDG

(以上、赤字はドイツの都市、青字ギリシャの都市)

 

ルフトハンザの客を取っているという見方もできます。航空券価格、サービス構成では、エーゲ航空はかなり意識しているでしょう。実はこれは控えめな言い方で、ルフトハンザ便と比べると価格は同等、サービスは良いと思います。

 経済力の劣る国が旅客運送に参加する時、こういうことが起きるのは普通。1990年頃から大韓航空は価格が安く、サービスがまあまあというパターンで日本人の海外旅行を引き受ける構造でした。今でもそうかもしれません。

 

ドイツ人の観光需要で会社が保たれているという勘ぐりは必ずしも正しくありません。年末年始は里帰り客だらけです。そして私の短い体験の範囲でも、年々ギリシャ人の出稼ぎより、ドイツ系・ギリシャ系のペア+その子という家族連れが増えています。

 

 

ゴールド会員の継続に対する配慮あれこれ

エーゲ航空は、ルフトハンザを盟主とするスターアライアンスに加盟する中小会社。そしてアライアンス共通の上級会員(シルバー*S、ゴールド*G)の資格基準は

 

*S:LHが50Kマイル、A3は維持が 8K ~ 16K マイル、新規が12K ~ 24K マイル

*G:LHが100Kマイル、A3は維持が12K ~ 24K マイル、新規が24K ~ 48K マイル

 

エーゲ航空は格段に会員資格を得やすく、維持しやすいのです。ルフトハンザは毎年同じ搭乗実績を必要としますが、エーゲ航空の場合、維持は獲得の半分です。

 エーゲ航空は、2010年にスターアライアンスに加盟。2014年までは、スターアライアンス各社20Kマイルの搭乗でゴールド会員。しかも期限なしという破格の条件で、会員を集めました。その後、上記の基準になっています。

 ルフトハンザを中心にスターアライアンス各社の会員を引き抜き、その後も維持しているという見方はおそらく当たっています。相変わらず会員資格の基準は極めて低く、Miles & More の信奉者には Miles + Bonus は面白い組織ではないはずです。

 

加えてエーゲ航空では、会員資格を維持しやすい方法が提供されています。

 

一つはティアマイルが購入可能なことです。年によって基準が変わりますが、スタンダードには、ゴールド会員で上限が 3,000 マイル、500マイル50€が単位となっています。

https://en.aegeanair.com/milesandbonus/how-to-earn/purchase-tier-miles/

 

次にエーゲ航空の航空券を購入する時、ティアマイルの加算オプションがあります。ごくわずかな追加料金(片道20€ぐらい?わずかだったので忘れました。)で、500マイルも増えました。4搭乗で1,000 マイルは、*G 維持に必要な12,000マイル/年の8%以上になるので無視できません。もしエーゲ航空の搭乗だけで*Gを維持するなら、5往復必要なところが、4往復で済みます。

 

ドイツーギリシャ輸送

ドイツーギリシャ間をフルサービスキャリアで移動するなら、普通に考えると価格とサービスのバランスからエーゲ航空一択でしょう。大きな市場で分け前をもらっているような感じがしないでもありません。しかしこの傾向は、航空輸送だけに限りません。

 

ギリシャの財政危機が起きた時、ドイツ製品をギリシャ国民はEUの金で買っている、つまりドイツ人が働いて、ギリシャ人を食わせているというスキームが暴露されました。これはかなりの議論を引き起こしました。

 ドイツは1945年以降、ヨーロッパの一員であることが国是であり、ヨーロッパが盤石でないと一員であることの根拠も危うくなるという理屈からか、自国の繁栄=ヨーロッパ繁栄という等式が成り立たない状況は許せなくなっています。ヨーロッパ建設という崇高な義務に寄生するように見えなくもないギリシャ(という国家)に対して、個々のドイツ人がネガティブな印象を持つのも無理はなく、ドイツからエーゲ航空を利用するたびに複雑な気持ちになります。