PECHEDENFERのブログ

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世界都市ランキングと空港ランキング

 

森記念財団の都市戦略研究所は、世界都市総合力ランキング(Global Power City Index)を毎年発表しています。

世界の都市総合力ランキング(GPCI) | 森記念財団 都市戦略研究所

これは森ビル傘下にある研究所が作成する世界都市ランキング。不動産業を行う上での基礎としたいことは明らかです。また本拠地の東京に関してはバイアスがかかり、あまり信用はおけないと判断するのが妥当です。それでもスカイトラックスの人気ランキングよりは真っ当でしょう。

 この総合力ランキングの6つの評価軸の内、2つは交通・アクセスと文化・交流です。評価に当たり、都市の国際空港は重要視されるはずです。そこで空港のランキングと比較してみました。

 

2022年の GPCI ランキング上位20都市と、それらの都市の最も主要な空港の年間利用人数の世界順位を一覧にしました。

旅客数は今だに COVID の影響から回復途上なので、空港のランキングは2019年の統計を利用しました。

 

実は GPCI ランキングの上位 5位の顔ぶれは10年間変わらず、東京とパリの順位が入れ替わったぐらいです。変動がないと不動産投資には不利なので、森ビルにとって都合が良い結果になっていますが、この5都市がベスト 5を占めることに関しては大勢の意見が一致しそうです。

https://mori-m-foundation.or.jp/img/ius_gpci2022_score_top5.jpg

 

 

主要空港ランキングは、都市ランキングとあまり相関が無いように見えます。これは一つの都市が複数の空港を持つことが主な要因です。都市ごとに空港の利用人数を足し合わせると以下のようになります。

1~3位では2つのランキングは完全一致。GPCI ランキング 4位のパリも空港ランキングで 6位と同程度の順位になります。全体的に相関はかなり向上しました。

 空港利用者が多く、都市ランキングが低いのは、北京、上海、アトランタなどです。中国については開放性やその他の理由から、他の世界都市と同じ基準で評価すると低評価になるのは納得がいきます。アメリカの大空港は航空会社の都合で都市に似つかわしくないほど大きいことが多く、アトランタは良い例。

 

次にいろいろと話題になる三大航空連合との関係を見てみました。ランキング上位の世界都市はブランドであり、国際線を持つような航空会社なら就航したいはずです。どのブランド都市、どのブランド空港でどの航空連合が大きな顔をしているかが知りたい点です。まずは GPCI 高順位の都市別に。

New York は JFK が AA の根城、EWR が UA。東京、北京は2つの連合が張り合っている都市です。Madrid は IB の存在感が UX より大きく、Los Angeles では AA の存在感が UA より大きいと判断しました。Berlin は相対的に LH の発着が多いのですが、LH の拠点ではなく、三大連合に属さない Dubai と同様に空欄としました。

 この一覧からは、世界の主要都市で目立つのはワンワールドとなります。続いてスターアライアンススカイチームはやや劣勢です。

 

空港利用者の世界順位とその空港の大部分を占める航空連合の関係は次の通り。年間利用人数は2019年の統計です。

空港利用者数の世界ランキングでは、10位までだとワンワールド優勢、15位までだとスカイチーム優勢、20位まで見るとスターアライアンス優勢です。ちなみに赤字は、私が思う「就航が航空会社のブランド価値を特に高める空港」です。ほとんどがワンワールドの拠点。他の人が選ぶと、別の空港(特に BKK とか、FRA、AMS など)が加わるかもしれませんが、ワンワールド優勢は変わらないでしょう。

 

一方、各連合が発表する統計は、加盟会社数、保有機材総数、就航空港数、就航国数、一日当たりのフライト数、年間旅客数。これらは外形的というか基本的な数量で、以下の通りとなります。

いずれの数値もスターアライアンスが最大、スカイチームがそれに続き、ワンワールドは最も小さいのです。しかし 3番目と 4番目の表で明らかなように、主要都市、主要空港、特に就航がブランドになる空港で存在感を見せるのがワンワールド。要所を抑えるのが上手だと言えます。海外旅行するとワンワールドを見かける機会が多いことには、理由があったのでした。