PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

会員資格 vs 都度払い:フライングブルーを手に AF に搭乗する場合

その時支払いが多い客利用実績が良い客とでは、どちらへのサービスを手厚くするか?これはマイレージプログラムを新設、改訂する場合、サービス提供者は丁寧に検討するはずです。サービスの受け手である会員の方が、鈍感なのは考えてみれば不思議です。実は数字を出して検証できる部分があります。

 

検証前に大前提を確認します。航空会社は、多く払う客とそうでない客ではキャビンを変えます。この点はレガシーキャリアではサービス展開の要であり、全く揺ぎません。そして上位キャビンには多様な付帯サービスを抱き合わせ販売して、高価格を維持します。利用実績が良い顧客には、標準キャビンの利用でもこの付帯サービスの一部を無償提供します。これがマイレージプログラムの典型。つまりビジネスクラス・サービスの一部というのは外向きの言い方であり、実質はビジネスクラスに付帯する補助サービス、抱き合わせ販売部分です。そこで付帯サービスの有無でその時支払いが多い顧客と利用実績が良い顧客の優遇ぶりを比較することは可能です。なおフライングブルー会員の特典一覧は、以下のサイトにあります。

https://www.flyingblue.us/en/programme/more-info/tier-benefits

 

比較はエールフランス― KLM の欧州線で

プログラムはフライングブルー、BER-CDG を2人が同じ日に往復するとします。2人は

ビジネスクラスに搭乗するエクスプローラ会員平ビジ)と

エコノミークラスに搭乗するプラチナ会員PLT エコ

です。2人とも最安料金でそれぞれのキャビンクラスの航空券を購入しました。

・得られるマイル

・手荷物上限

・その他、キャビン外でのサービス

はどのぐらい違うのでしょうか。

 

週末は私用が多く低料金、平日は商用が多く高料金となるレガシーキャリア欧州便。直前や料金が上がる季節は避けて、3月9-10日、3月11-13日の最安値を検討してみました。

 

3月9日行10日帰 (週末)

エコノミー Platinum 会員:147.52 EUR ビジネス Explorer 会員:521.16 EUR

 

3月11日行13日帰 (平日)

エコノミー Platinum 会員:253.73 EUR  ビジネス Explorer 会員:704.37 EUR

 

エコノミークラスは週末、平日共にライト運賃

・機内持込鞄 1 とアクセサリー 1で合計12 kg(最近いろいろうるさい部分)

・預入手荷物なし

・チェックイン以前の座席指定不可

・変更には手数料(100 EUR と差額)

・払戻不可

 

ビジネスクラスは週末スタンダード運賃、平日フレックス運賃

・機内持込鞄 2 とアクセサリー 1で合計18 kg

・預入手荷物も機内持込鞄と合わせて 2つまでで 1つの上限は 32 kg

・チェックイン以前の座席指定可

・ラウンジ利用

スカイプライオリティ

・変更可能(差額は必要)

・予約の最初のフライトの前なら払戻不可(スタンダード)、可(フレックス)

 

以上が最低価格とサービス内容でした。以下が比較の結果です。

 

1. 獲得マイル 結果:平ビジ>PLT エコ

得られるマイルの計算は単純です。

エコノミーPlatinum会員:147×8=1,176 mile (週末)、253×8=2,024 mile (平日)

ビジネス Explorer 会員:   521×4=2,084 mile (週末)、704×4=2,816 mile (平日)

会員種別でプラチナ会員は最も優遇されますが、ビジネスクラス利用の平会員には及びません。週末、平日それぞれ 8割増し、4割増しです。マイルという付帯サービスでは、明らかに都度払い客を優遇しています。

 

2. 手荷物の上限 結果:平ビジ>PLT エコ

PLT 会員、Gold 会員、Silver 会員が AF, KLM などを利用する場合、共通した荷物追加特典があります。

預入手荷物一つ+ゴルフ用品のみ収納されたゴルフバッグ一つ

前者はキャビンで重量が決まり、欧州便エコノミークラスは最大23 kg。後者は最大23 kgです。なかなか強力な特典ですがそれでも手荷物は合計58 kgで、うち 23 kg は可載物品が極めて限定されます。ビジネスクラスは 32 kg x2 の合計64 kgであり、内容は制限品以外何でも。明らかに都度払いのビジネスクラス客の方が有利です。

 

3. ラウンジ利用 結果:平ビジ=PLT エコ

現在 AMS でも CDG でも、あるいは BER でも、追加料金なしに利用するラウンジに区別はありません。

 

4. スカイプライオリティ 結果:平ビジ>PLT エコ

搭乗手続カウンターは、場所により、状況により運用が変わります。多くの場合、Silver 会員以上とビジネスクラスは同じ扱いです。保安検査はスカイプライオリティとそうでない場合で分けることが多いようです。優先搭乗は、Zone 1 がビジネスクラスと Ultimate, Club2000, Skipper 会員で最初、次の Zone 2 に PLT 会員は該当します。AF, KLM 便では少なくとも 5年前からは、SkyPriority 内にそのような格差を設けています。

経費が発生しない部分でわざわざ差をつけることには注意が必要です。AF と KLM は明らかに Business Class 客を Flying Blue PLT 以下 (と SkyTeam ELPL) より優先するし、そう見られて全く差し支えないということです。

その他、キャビン外でのサービス

上記 Flying Blue のサイトを全て見て、ビジネスクラス客にも提供があってよいけれど明記されず、PLT 会員にはあると認められるものは PLT 会員用の電話番号。ビジネスクラスの航空券に専用の電話番号が記載されているのかどうか調べてみたことはないので、この点については判断を保留します。

 

結論

ラウンジ利用で会員資格は都度払いに並びましたが、それ以外のサービスでは会員資格は都度払いの下に置かれます。改めて比較してみた結果、会社は意識してそういうサービス体系を組立てていると感じました。

 

昔は会員レベルが高いとキャビンアップグレードも時々あったのですが、今では望みはほとんどありません。会員資格があろうがなかろうが、AF-KLM はビジネスクラスとエコノミークラスを交差させない方針のようです。例外はラウンジで、一般にも利用が販売されています。