先日の記事では、上位資格がある会員とその時支払いが多い客とで、(キャビンサービス以外の付帯) サービスにどれだけ差があるか Flying Blue で検証してみました。
会員資格と都度払いの比較:フライングブルーを手に AF に搭乗する場合 - PECHEDENFERのブログ
航空会社は、ビジネスクラスの高価格を維持するために地上サービスを含め、様々な付帯サービスを抱き合わせ販売します。プレミアム化です。この付帯サービスの部分は、上顧客への特別待遇 (無料または低価格販売) にも使われがち。したがって会員を大切にするか、その時大金を払う一見さんを大切にするかを判断する目安として使えます。
AF-KLM を利用するなら、ビジネスクラスカードはプラチナ会員カードより明らかに強力でした。今日は JAL について検証します。
Flying Blue では一般の最上位、プラチナ会員を対象にしました。JAL でもこれに匹敵する会員レベルを取り上げる必要があります。多くの JAL 会員の搭乗パターンを鑑み、短距離普通席の搭乗で比較*すると、プラチナ会員に要求される年間搭乗実績は欧州線エコノミークラス 60回です。欧州線は国際線ですが、日本の感覚では「陸路・海路で行くには遠い」移動。HND-FUK とか、HND-OKA などです。低価格60フライトの搭乗実績だと Flying Blue プラチナに匹敵する JAL の会員はダイヤモンド会員で問題ありません。
*:ビジネス、ファーストクラスを多用するならプラチナレベルには1/3、1/5の搭乗量で到達しますが、この事実は以下の比較で JAL は都度払い>会員資格であるという結論が出た場合にその結論を修正するべき理由となります。JAL は都度払い<会員資格であるという結論が出た場合、この無視された因子を考慮するとその結論はさらに補強されます。
比較はホノルル線で
プログラムは JAL マイレージバンク。JAL らしい路線の HND-HNL を次の2人が往路1月22日発、帰路27日発(共に JAL 直行便)で旅行するとしましょう。
エコノミークラスに搭乗する💎会員(💎エコ)
ビジネスクラスに搭乗する平会員(平ビジ)
2人とも最安料金でそれぞれのキャビンクラスの航空券を購入しました。
・得られるマイル
・手荷物上限
・その他のキャビン外サービス
はどのぐらい違うのでしょうか。最低価格は、
エコノミーダイヤモンド 会員:119,360 JPY (往路Z, 帰路Z)
ビジネス平会員:435,960 JPY (往路C, 帰路C)
と結構な価格になります。さすが JAL のハワイ。
1. 獲得マイル 結果:平ビジ>💎エコ
得られるマイルは
エコノミーダイヤモンド会員:2,643 mile
ビジネス平会員:4,789 mile
会員種別でダイヤモンド会員は最上位ですが、ビジネスクラス利用の平会員には及びません。8割増しです。マイルという付帯サービスでは、明らかに都度払い客を優遇します。
2. 手荷物の許容 結果:平ビジ=💎エコ
預入手荷物の条件は、会員資格がキャビンの差を埋めます。
エコノミーダイヤモンド会員:最大 32 kg の手荷物 3つまで無料
ビジネス平会員:最大 32 kg の手荷物 3つまで無料
で一致。機内持込荷物については、そもそもキャビンや会員種別による違いがなく、
「身の回りの品(ショッピングバッグ、ハンドバッグなど)1個の他、以下の条件の手荷物1個とし、また、両者の合計重量が10kg(22ポンド)を超えないものとします。」
つまり運べる手荷物の許容範囲は両者で全く同じ。
3. ラウンジ利用 結果:平ビジ<💎エコ
よく知られるように、JMB ダイヤモンド会員を含むワンワールドエメラルド会員は、格上のファーストクラスラウンジに案内されます。ビジネスクラス客のラウンジはサクララウンジ。したがってラウンジに関しては会員資格が圧勝。
4. 各種優先 結果:平ビジ<💎エコ
優先チェックインカウンターには JGC 会員用、プレミアムエコノミー用、ビジネスクラス用、ファーストクラス用があり、ダイヤモンド会員はどれでも利用可能です。ビジネスクラス客はファーストクラス用カンターは利用できません。羽田空港の保安検査は時々運用が変わるので判断は保留します。優先搭乗ではダイヤモンド会員はグループ 1ですが、ホノルル便だとおそらくビジネスクラス客も同じにされると思います。
5. 機内 Wifi 結果:平ビジ<💎エコ
ダイヤモンド会員は機内 Wifi 利用も提供されます。事前登録が必要ですが、今は3時間まで無料。ビジネスクラスは無料ではありません。
結論
運べる手荷物は同じであり、得られるマイルは劣りますが、それ以外の付帯サービスで会員資格は都度払いより重要視されます。エールフランスとは逆に JAL は会員を贔屓する会社という結論になります。上位の会員資格を得るならこういう会社を選ぶべきなのは言うまでもありません。JAL のダイヤモンドと AF-KLM のプラチナでは、要求される搭乗量は同等ですが特典の水準はかなり違います*。
*:共に自社プログラム会員ですから、ow Emerald と SkyTeam ELPL の比較で差が出るのは当たり前という主張は的外れです。
逆の見方をすれば JAL ビジネスクラスのサービスは相対的に貧弱と言えなくもありません。これで高価格を提示するのだから、JAL は不思議な会社です。もっともほとんどエコノミークラスからアップグレードで、大して払わない客ばかりかもしれませんが...。