PECHEDENFERのブログ

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航空会社ステイタスは買う時代 (その 1):XP 単価 3.4€ ?

 

XP 単価

よく知られるように AF-KLM に搭乗する時、フライングブルーの XP が購入できます。正確にはフライトで消費する SAF を客が負担すると、会社はその貢献に応じて XP で報います。3つのオプションのうち、一番 SAF を負担する場合は (10 € のSAF 購入) = (1 XP 付与) のようです。ところがフランスでは寄附の 66% が所得税から控除されるため、彼らには 1 XP = 10 € は実質 3.4 € の支出になります。納税額によってはこのレートで相当な XP が手に入ります。(Flyertalk による。)

 納税しようがしまいが、SAF 購入は搭乗距離で決まり、購入量を購入者が決めるわけではありません。しかし 300 XP が僅か 1,020 € になっては、XP run (いわゆる修行) を行う者には衝撃的。Flyertalk の XP run のフォーラムでは、COVID前に「10 €/XP は楽勝、6 €/XP を切るならよい run。」と言われていました。COVID 後はこの話題に元気がありませんが、今でも AF-KLM の搭乗で 9 €/XP は難しくありません。しかし 3 € 台に XP 単価を下げるのはさすがに無理でしょう。

 

ステイタス獲得・維持のために旅行することと比べ、購入は時間がかからない点も有利です。さらに旅行に伴う付帯費用もゼロです。付帯費用のうち大きいものは、

(地上移動) + (修行ルートの開始空港・終了空港までの移動) + (現地宿泊) -(食費)

で、かなりの額になります。しかも世の中で XP 単価を議論する時、無視するのが当然。XP 購入なら、居住地で可能なので 10 €/XP でも相当有利なのです。

 

つまりフライングブルーのステイタスが欲しいなら、修行ルートを探すよりも、マイルで AF や KLM の長距離路線の特典航空券を得て、そのついでに XP を購入するのが一番となります。東京-パリ経由ードイツの都市行で購入分は片道 180 XP を越えます。往復でプラチナ会員継続です。もっと大胆に 東京-パリ-LAX の往復を決めれば、購入 SAF 分だけでも 660 XP を越えるでしょう。これだけでプラチナ会員継続 2.2年分ですね。

 

XP 繰越上限の設定

すでに記事にしましたが、2024年11月1日以降の会員資格更新では XP の繰越上限が 300 に設定されます。初回だけ特例があります。

XP にまつわる改悪の第2弾 - PECHEDENFERのブログ

FB:ライフタイムプラチナ獲得には好機のはずだが - PECHEDENFERのブログ

「10,000 € 分 SAF を買えば、プラチナ会員10年分=ライフタイムプラチナだ」などと、目の色を変える者はごく少数でも、無視できない人数になったのでしょう。何せ 3,000 XP は 東京 - パリ - LAX 有償エコノミークラス + SAF の 4往復強。楽勝のライフタイム・ステイタスです。かといって、SAF の導入は強力に推進する他なく、購入者に XP 付与と引換えにこの代金を負担させる以外に良い方法もありません。この改悪は Air France には予想できたはずです。

 

この機をとらえて、ライフタイム・プラチナ獲得というゲームを完遂すると記憶に残る良い体験になりそうです。その点では滅多にない面白い展開です。

 私が危惧するのは、今後も SAF の購入でステイタスが得られる事実が変わらないことです。XP 獲得に効率の良いルートを探すことはほぼ無意味です。特典航空券を利用して欧州へ、あるいは欧州経由の南北アメリカやアフリカが望ましいルートになっています。例えば特典航空券のパリ往復では SAF を購入しない人は 0 XP、最大限購入する人は 300 XP を超え、プラチナ会員更新が完了。XP run はすでに過去の遺物です。

 

ステイタス獲得ポイントを得るためだけに搭乗する mileage run, XP run, TP run (日本語では修行) は、一般人の感覚では無意味です。しかし XP や TP、あるいは資格マイルが購入できるようになると、この無意味なゲームに価値を感じる人たちに対してさえ意味を失います。それが 2020年代に入り、いろいろな様態で進行中です。