PECHEDENFERのブログ

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JAL Life Status で測るライフタイムメンバーシップ

 

JGC Lifetime program は来年 1月に拡充、改称され JAL Life Status プログラムになります。大手航空会社なら会員プログラムを持ちますが、中にはライフタイムメンバーシップを設ける会社もあります。これらのプログラムでは、搭乗実績とメンバーシップ特典との対応という基本構造は共通しています。したがって航空会社間で比較したくなるのが自然な流れ。この観点から JAL Life Status をライフタイムの BA ゴールド会員、AF-KLM プラチナ会員と比較してみました。


JAL Life Status はクレカ会員プログラム

最大の違いをまず指摘します。JAL Life Status プログラムはクレジットカード(年会費が必要)の生涯資格プログラムであり、金の切れ目が縁の切れ目。特典は無料プログラムより充実するのが当然です。次に重要な違いですが、JAL Life Status は上位キャビン利用を評価しません。FOP でも (、ANA の PP) でもフライト利用重視の性格を持ちますが、この流れに沿っています。

 後者の特徴のため、JAL では格安エコノミークラスでステイタスを獲得するのが主流。今日も格安エコノミークラス利用を基に比較しましょう。

 JALビジネスクラス利用客は (個人客なら特に) エコノミークラスアップグレード対象料金という航空券を買ってマイルでアップグレードしている場合が多く、これは格安エコノミーに他なりません。BA でも AF でも搭乗を登録すると格安エコノミー扱いです。これをビジネスクラス航空券の搭乗として「自分の JAL 搭乗を BA に登録したらどうなったか」と試算した方がいましたが、このカラクリを明確にせず、虚栄心の発露にも見えました。これは他山の石で、前提は慎重に扱う必要があります。

 

JAL Life Status では国内線搭乗1回で 5 pt 得られますが、同じ搭乗を BA、AF に記録するとそれぞれ 10 TP、2 XP が得られます。

 JAL Life Status で目立つステップは、1,500 pt の JGC (含 oneworld sapphire 会員特典)、6,000 pt の 5☆ (サクララウンジ同伴人数無制限、マイル無期限化、マイル譲渡可など)、12,000 pt の 6☆ (JAL 最高ラウンジの利用など) でしょう。

 一方 BA は 35,000 TP 到達でゴールド会員 (oneworld emerald 会員) 資格がそれ以後無条件で更新されます。AF は 3,580 XP* でプラチナ会員 (SkyTeam ELPL 会員) が永久化します。ただしこの制度は恒久ではなく、ワンチャンスです。

* : 100 XP で Silver 会員、その後 180 XP で Gold 会員、その後 300 XP で Platinum 会員。Platinum 会員を 10 年連続したら、そのままライフライム会員。一方で 2024年11月以降の最初の Platinum 会員更新時に 900 XP 以上 XP を有していると、Platinum 会員更新に -300 XP、繰越上限 300 XP を除いて 300 XP 毎に Platinum 会員連続年の記録に変換されます。300 XP を残して Platnium 会員10年目がスタートするには合計で 3,580 XP となります。(Platinum 資格基準の変更がいつあるかわからず、300 XP だけでは次年度のプラチナ資格には不十分になるかもしれません。)

 

ざっとこんな仕組みです。

 

BA との比較

JAL 国内線利用を BA の Executive Club に登録し、ライフタイムゴールドを達成するには 3,500 回の搭乗が必要です。これを素直に JAL に登録していれば、Life Status program では 17,500 pt になり楽々 6☆達成。加えて再度ゼロからスタートして 5☆間近です。JAL国際線利用でこの計算を行うとさらに極端なことになります。

 一部の 6☆会員は emerald 会員資格の付帯がないことに不満なようですが、どう考えても (その資格が無期限になる最易な方法である) BA ゴールドに比べて搭乗基準が低すぎます。要求が少なく、永遠のステイタスは永遠の会費振込からという折衷策なので、この程度で仕方ないのでしょう。不満を覚える 6☆会員の方々も、冷静になれば JAL 以外のファーストクラスラウンジが利用可能なことぐらいしか、BA との間に実質的な差はないことに気づくと思います。

 なお 5☆会員でうれしい特典のマイル無期限化、マイル譲渡可は、BA では最下位のブルー会員にもある特典です。形式的には「お話にならない」JAL Life Status プログラムですが、流動性が低いプログラムの裏返しとしてマイルのレートが高いので、「自分だけ」流動性が高いことには価値があります。

 

AF との比較

JAL 国内線利用を AF-KLM の Flying Blue に登録し、ライフタイムプラチナを達成するには 1,790 回の搭乗が必要です。これを素直に JAL に登録すれば、Life Status program では 8,950 pt になります。5☆達成して、5☆と 6☆の中間点にいます。さてAF のプラチナ会員は oneworld sapphire (または JGC) 並みの特典に加え、自社エコノミークラスを利用する限り、席指定で相当な便宜が図られます。つまり AF, KLM のエコノミークラスにいる限りは最強カードであり、JGCJAL のエコノミーを利用する場合と比べて水準が高いのです。JAL にない席種が AF と KLM のエコキャビンにあることを考慮すると、自社エコ利用では JAL ダイヤモンド会員より強力かもしれません。

 そんなプラチナ会員も、ビジネスクラス以上の利用では霞みます。今や AF-KLM では、上級会員特典はエコノミークラスで快適に旅行する道具です。これは exclusive な Ultimate 会員の設定とも関係します。AF-KLM は上級キャビンとエコノミーをはっきり階層化、区分し、従来の上級会員はエコノミー中の最上グループに位置づけ、階層を越える細い階段として Ultimate を作ったようにも見えます。

 

他社利用時はプラチナも 5☆も同程度。自社利用時は人によって判断が分かれるところという結論が妥当でしょう。AF-KLM は無料、JAL は有料をどう判断するか難しいところです。

 なお 5☆会員での特典、マイル無期限化は、AF でも最下位の Explorer 会員の特典です。これは BA と同じ状況。マイル譲渡は有料です。JAL より流動性は高いのです。

 

BA と AF の比較

JAL と BA、JAL と AF では年会費の有無、キャビン差重視の有無の差があり、比較も形式的、表面的なものになります。しかし JAL の搭乗を BA、AF のどちらに登録するかという比較なら精度が上がります。つまり JAL Life Status の基準で、BA と AF のライフタイム会員を測るのです。

 BA ゴールドは 17,500 pt 相当。AF プラチナは 8,950 pt 相当。BA に要求される搭乗量は AF の 2倍。BA の特典はビジネスクラス利用時でも充実しているにしても、要求される搭乗実績が 2倍では判断に迷うところですね。

 

補足

上級キャビン利用で BA と AF の比較をすると、ビジネスクラス 75%、ファーストクラス 83%に違いが縮まります。大勢に影響はありません。また一般にエリート会員資格が最も威力を発揮するのはエコノミークラス利用時なので、AF のプラチナ会員資格のほとんどがエコノミークラス利用客向けだとしても、実質では大した差を産まない気がします。修行みたいなことを考えるなら、AF のワンチャンスを生かす方が良いかもしれません。