PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

航空会社ステイタスは買う時代 (その 2):改造か新設か

 

既存プログラムに「ステイタス購入」を導入した会社

徹底しているのはアメリカン航空でしょう。「デルタ航空が始祖となった」特典用マイルの支払金額基準は、他の北米大手も次々採用。一番遅かったのがアメリカン航空ですが、彼らは同時に会員ステイタス基準も支払金額制に変えました。一気に改宗です。

アメリカン航空はクレカ利用だけで上級会員に(その 1) - PECHEDENFERのブログ

アメリカン航空はクレカ利用だけで上級会員に(その 2) - PECHEDENFERのブログ

搭乗では 1ドルあたり得られるマイルが会員種別で異なり、等値になる Loyalty Point も同様です。しかしアメリカン航空の提携クレジットカードを利用しても OK。標準レート (1 USD の利用= 1 Loyalty Point) でも年間 200,000 USD の利用で最上位会員 Executive Platinum の基準に達します。米国のクレカは利用額で得られるポイントが10倍以上になるキャンペーンが多く、Executive Platinum を目的化する、つまり何を購入しても構わないなら支払額を10分の1未満にできます。これなら航空券を買うより支払額は下がります。

 

こんな状況では Loyalty Point run は、クレカのポイントキャンペーン探しになります。今や不要物品のネットでの購入、未開封でネットオークション販売が Executive Platinum への近道。空港に行く金も時間ももったいない話。のんびり大陸横断なんてやっている場合ではありません。

 

Executive Platinum にいくら使ったか?というゲームは可能です。しかしその場合でも、ルーティングや航空券の買い方の重要性は限りなく小さくなりました。

 

「ステイタス購入」のために新プログラムを始めた会社

最近ステイタスを購入可能にした大手航空会社は JAL。彼らの場合、既存プログラムであるマイレージバンクの有効性は理解しており、FLY ON プログラムは今後も変わらないと神経質に宣伝しています。内輪の事情が透けて見える感じがします。

新しい JAL Life Status プログラムは Club-A 以上の JAL クレジットカード保持が参加条件。クレカ利用では20万円で獲得する 2,000 マイル毎に 5 pt 得られます。そして 1,500 pt で JAL グローバルクラブ入会、6,000 pt で☆☆☆☆☆、12,000 pt で☆☆☆☆☆☆という現行の JGC 会員ステイタスが得られます。

 これらの会員ステイタスに到達するには、今まで同クレジットカード年会費を収めながら搭乗を重ねる他なかったのですが、来年からは同クレジットカードの利用だけで到達できます。利用額合計6,000万円で JGC、2億4,000万円で☆☆☆☆☆、4億8,000万円で☆☆☆☆☆☆に到達するのです。朗報ですね。今後は JAL の搭乗なしに JGC も Life Status 最高位も獲得できます

 

JAL 会員制度への影響は「限定的だが、小さくない」程度。個人の年間カード利用が 3,000万円で航空旅行に関心があるクレカ上顧客なら、2年で JGC、8年で☆☆☆☆☆です。金で買うステイタスも絵空事ではありません。しかしこのタイプはフライトを探す時、上位キャビンから見ていくので今まで JGC は関心外だったはず。しかも人数はごく僅か。

 私の想像では JGC 会員の最頻値は、Club-A・ショッピング特約、年間クレカ使用額 100~200万円、新 Life Status ポイントで量って年間 100 pt 未満の活動度。現在の JGC 会員の多くはプログラム開始時に新基準の 1,500 pt には達しないと思います。飛行機は利用するけれど、頻度が低い人のための JGC なのでこれは当然です。こういう会員が大多数になるので、クレカ利用者のプログラム攻略続出を危惧するのは杞憂です。

 それに加えて FLY ON プログラムは温存され、JGC とは切り離されます。そこへは拝金主義はほとんど影響しません。

 Life Status プログラムは JGC の独立&拡充であるとも、JGC を核に据えたクレカ会員サービスの新設であるとも言えます。いずれにしても JGC 獲得には 3-5年かかりそうなので、JGC 修行という言葉を聞くことは次第になくなりそうです。修行と言えばダイヤモンド修行・メタル修行に限定されそうな JAL。あまり目立ちませんが、現在より金がモノを言うようになり、搭乗の工夫の余地が減るのは確実。つまらない方向への舵取りには変わりありません。