PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

2021は楽勝のワンワールドエメラルド会員

劇場は閉鎖中だと思いますが、Deutsche Oper Berlin からのメールは相変わらず届きます。

f:id:PECHEDENFER:20201211171744j:plain

Adventskalender を作ったようです。オペラ、子供向け、クリスマスの3者をどうブレンドするのか気になったので、誘導されるままクリック。するとホームページです。公演記録のビデオが11もぶら下がっていますが、その中に Die Walküre がありました。このプロダクションについては、「9-10月の Deutsche Oper Berlin では、Nina Stemme が Brünhilde を演じるのですが、どこまで歌えるでしょうか。公演に駆け付けるのは、少々無理。」と書きました。公演を見に行くことは叶いませんでしたが、ビデオでその一端を鑑賞できました。

f:id:PECHEDENFER:20201211172513j:plain

北欧コンビによる場面。アラ還の Nina Stemme は、驚くほど声が通ります。Sieglinde の体格が一回り大きいことに違和感を覚えますが、仕方ありません。Lise Davidsen は 188 cm。

全くの私見ですが、Nina Stemme の異次元から届くような声は神の役にピッタリ。北欧出身にはそんな歌手が多いのですが、彼女の Brünhilde は特に当たり役。一方で人間の役は、物語りが圧倒的に上手な中欧ゲルマン系の方が安心して聞くことができます。あるいは英仏系ですね。新世界の歌手は音楽に忠実過ぎるのか、滅多なことでは言葉が届かず、どんな役でも退屈です。アジア系歌手の方がドラマになる気がします。ベースとなる文化の違いとしか言いようがありません。

 

前置きが長くなりましたが、本題はパンデミックとその影響の話。各社は会員資格に関して、2021年の利用実績の扱いとその後の会員資格に関する追加措置を次々発表しています。

 

(1) JAL Mileage Bank

2020年は半年間 FOP 2倍にした上、2020年の会員ステータスを2021年は据え置きにすると発表した JAL。新規会員へも、継続会員へも大判振る舞いでした。それでも利用減少を危惧しているようです。

 特別措置の第三弾です。恩恵にあずかるのは、2021年にマイレージバンクでステータスがある会員のみで、FOPボーナスが付与されます

ダイヤモンド会員 40,000 FOP

JGPプレミア会員   28,000 FOP

サファイア会員  15,000 FOP

クリスタル会員    8,000 FOP

 

ダイヤモンド会員を2022年中継続するために、2021年に必要なフライトは規定の60%、これがプレミア会員は65%、サファイア会員は70%、クリスタル会員は73.3%となります。上になるほど楽になるという逆スライド方式で、 Emerald 会員(=ダイヤモンド、プレミア)がぐっと近づきます。

 これ以外に 5000 FOP の初搭乗や DP 特典 3,000 FOP、一月 FOP 1.5倍が加わるわけです。もし JGC ダイヤモンド会員が更新を一月以内で済ませるなら 34,667 FOP ですか?これは羽田-伊丹ビジネスきっぷで18往復+α、特便割引ファーストで16往復、羽田-那覇特便割引普通席で 9往復+αです。

 

修行僧の皆さんには朗報なのか悲報なのか分かりませんが、2021年の修行は非常に短期間で終了します。物足りなければ、ANA国内線搭乗による Air New Zealand Gold の獲得など、思い切りの良いチャレンジをしましょう。せっかく機会です。

 

(2) AAdvantage

アメリカン航空で、もっとも多くの搭乗が要求されるエグゼクティブプラチナ(EXP)。これはワンワールド Emerald 会員です。2019年に支払い基準 EQD が12,000 から 15,000 に変更になり、2020年年頭に EXP から脱落した会員が大勢いたようです。

 AAdvantage はそれに先立つ 2017年に、EXP と Platinum の間に Platinum Pro という会員レベルを導入しています。ワンワールド Sapphire 会員が、Platinum と Platinum Pro の2段階になったわけです。2019年に継続基準に到達しなかった EXP 会員の多くは現在 Platinum Pro になっており、その会員資格は1年間延長されています。搭乗が無くても 2021年は Platinum Pro なのです。このような状況でアメリカン航空2021年の早い時期に Platinum Pro をワンワールド Emerald 会員にすると決めたようです。

AAdvantage Platinum Pro Oneworld Emerald Upgrade | One Mile at a Time

パンデミックとそれがもたらす不可逆的な社会変化により、多頻度利用者が大幅に減り、近い将来回復する見込みはありません。一方で EXP へのハードルは高くなり、AAdvantage の魅力が失せつつあります。それを補償する意図があることは間違いありません。

 またアラスカ航空と会員サービスの乗り入れを図るにあたって、次の (3) が影響したと思われます。EQD 値上げが原因で EXP を落とした会員は救われ、もともと Platinum Pro を続けてきた会員には棚から牡丹餅。

 

AAdvantage の会員に Emerald 会員はだいぶ身近になりました。

 

(3) AS Mileage Plan

アラスカ航空は2021年 3月31日にワンワールドに正式加盟します。ようやく会員プログラムの行方が発表されました。

Alaska Airlines and oneworld announce benefits for elite Mileage Plan members

もともと Mileage Plan には Gold、MVP Gold、MVP Gold 75K という会員レベルがあり、一番上の MVP Gold 75K に要求される搭乗は 75,000 miles。ワンワールド Emerald 会員は基本的に 100,000 miles ですから、加盟に際して MVP Gold 75 K の基準が上げられると予想していました。これは大外れ。Mileage Plan の各レベルは

MVP:Rugy、MVP Gold:Sapphire、MVP Gold 75K:Emerald

となります。 75,000 miles で Emerald 会員。RJ の 65,000 miles の例はあるものの、S7 と共に相当低い設定です。確かにこの需要低迷下は、すぐには回復しないと考えられるので、基準を上げると出発から失速する恐れがあります。

 アライアンス他社もあの手この手で基準を下げており、低い基準が継続状態になっています。Mileage Plan の基準でも最低 2~3年は問題ない、つまり上級会員が集まり過ぎて、プログラムがパンクすることはないと思います。

 アラスカ航空とアメリカン航空はお互いの上級会員を国内線でアップグレードを行うことをすでに決めています。2社のプログラム間で、どの会員レベルが対応するのか明確にする必要がありました。75,000 miles のレベルには Platinum Pro、MVP Gold 75 K があり、これらの2つを対応させるのはほとんど必然です。

 これらの条件が後押しし、AAの Platinum Pro が Emerald に昇格したようです。

 

(4) BA Executive Club

2020年 7月から2021年 6月に年度が終わる会員は、会員資格が1年間延長されましたが、次の更新で必要な Tier Points を規定の 75% にすることも同時に通知されました

GGL:2,250、Gold:1,125、Silver:450、Bronze:225

となります。Gold 会員(=Emerald)を継続するためには、BA か IB の4搭乗が必要となるにせよ、HND-ITM クラス J で14往復するだけで TP は 1,120。楽勝です。

f:id:PECHEDENFER:20201211191408j:plain

 

加盟前のAS の基準公表は別としてこれらの措置に共通することは、会員資格の易化が2回目、3回目だということです。方法は多様ですが、どの会社も重ねて大胆な方策をとります。上級会員の数は顕著に減るのでしょう。事態は深刻です。