バス代わりの飛行機

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ライフタイム・エリートメンバーシップへの道:インデックス、傾向と対策

ライフタイム・メンバーシップへの道は、10社以上取り上げたので、インデックスをつくりました。パンデミック・イヤー 2020年に全くふさわしくない特集でした。自分が一つ獲得した重要な節目になったので、ブロガーとしてはネタにせざる得なかったのです。疫病は人の事情には関係なく勃発します。結婚式中止などと、もっと顕著な災難となった方も多く、不平を言ってはバチが当たります。 

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パンデミック下の桜

特集のインデックス

Air France, Lifetime Platinum membership

American Airlines, Lifetime Platinum membership

British Airways, Lifetime Gold membership

Delta Airlines, Lifetime Gold membership

Finnair, Lifetime Gold membership

Korean Air, Lifetime Morning Calm Premium membership

Lufthansa, Lifetime Senator membership

Philippine Airlines, Lifetime Premier Elite membership

Qantas Airways, Lifetime Gold membership

Scandinavian Air Systems, Lifetime Gold membershihp

United Airlines, Lifetime Premier Gold membership

北米三大手の比較対照

other programmes

 

集中的に調べると多くのことに気づきます。こうしたメンバーシップを獲得する時、問題になりそうな点をまとめます。自分にとって二つ目を考える時の指針です。

 

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パンデミック下の桜 2

航空会社の戦略として

航空会社の立場を推し量ることは有益です。彼らの考え、意図が分かれば、抜け道も見つかりやすいと言うものです。

 

そもそものお話ですが、レガシーキャリアはサービスの多様化に熱心です。会員プログラムの進化にも、その性根が出ています。利用度に応じて特典航空券などを含む景品を提供するという内容に、会員レベルを設けて上位会員を他の客から区別して手厚くもてなすという特典が加わっています。現在はこれが基本形です。

 お得意様を他より良く待遇するのが上級会員制度なので、1~2年毎に会員の利用度を見直すのが当然です。ライフタイム・メンバーシップは利用度の見直しが全く入らないので、上級会員制度の中では異質です。

 

この比較的新しい制度、何のためにあるか考えてみたのですが、馬を走らせるニンジンの役目しか思いつきませんでした。

 上位会員が 1年毎に必要な利用実績を 2カ月で達成してしまったら、残りの10カ月は自社を使わず、他社を使うことが懸念されます。それでは困るので、上へ上へと上位会員レベルを積み上げてきたのがプログラムの現状。きりがない一方で、会員特典の方は出尽くしてしまいます。「一生かけて」搭乗を重ねる必要のある会員レベルを新設し、余生の夢を見させるのがそのコンセプトでしょう。

 

例えば BA。2013年 9月にゴールド (GFL) とゴールドゲストリスト (GGLFL) のライフタイム・メンバーシップを新設しました。GFL の基準は、1991年の TP 導入以来、連続してゴールド・ティアを維持できる総 TP だったに違いありません。(= 1,500 TP × 23 年を丸めると 35,000。)

 一方 GGLFL は遠大でキリの良い 100,000 にしたようです。ライフタイム・シルバー、ライフタイム・ブロンズは設定されませんでした。こういう基準の決定、設定するしないには、達成しそうな会員のボリューム、各ティアに対する考え方が影響しそうです。

 BA では同じメンバーシップを長年続けると、永久化して報いるという発想が伺われます。客の立場では、20〜25年は生産年代で大きな一つのフェーズ。説得力があります。

 

エリート会員のインフレ

10年以上 JGCSFC を続けている方は気が付いていると思いますが、上級会員制度はインフレーションを起こすのが宿命です。会員の数も会員ティアの種類もです。

 以前は年に5万マイルもの搭乗を行う者は少なく、上級会員は限られました。それがクレカの会費で永続化できるのですから、JGCSFC はとても魅力的。ダイヤモンド会員に至っては本当に少数で、その特典は憧れをもって語られることが多かったのです。

 それが今や JALANA 同時ダイヤモンドの紫ダイヤもすっかり市民権を得ており、5年以上紫ダイヤ会員継続という方も珍しくありません。国内線に40回も搭乗すればダイヤモンド会員になれますので、今日のセンスでは大したことないわけです。

 逆に過去に遡って考えると、1970年代の JAL Global Club は大雑把に言って、海外駐在を長く経験した方たちの集いでした。移動が少ない時代では、かなり exclusive な集団です。今とは全く性格が異なる会員組織だったはずで、広告も別荘、墓地など自宅以外の不動産、スイス製腕時計、地金の購入、和服の仕立てなどといった調子だったのではと想像します。

 大衆化すれば会社は儲かるわけだし、大衆化前の高いイメージで客を釣ることもできます。20世紀から、Champagne がやっている紋切り型のブランドビジネス。航空会社がやらない理由はありません。

 

こういうエリート会員制度のインフレは世界中で起きています。デルタ航空はプラチナの上にダイヤモンドを、SAS はゴールドの上にダイヤモンドを設定しました。これらはここ10年で起きた変化です。JGC プレミアもこれです。

 世界的な航空連合の結成は、このインフレに拍車をかけています。加入していない会社では、上位会員は一つか二つ。下が 10,000 マイル~ 30,000 マイルの年間利用、上が 50,000 マイルの利用が普通です。連合に属するようになると、これでは足りなくなり、各社 100,000 マイル級の会員ティアを設けるようになります。

 紫ダイヤが良い例ですが、2つ以上の会社で 100,000 マイル級ティアを維持する者も今や珍しくありません。そして招待制の「最上級」会員ティアも、相互比較される程度に一般化しつつあります。明確に基準を示して、300,000 マイル級の会員レベルを設定する会社も増えてきました。それでも日本における BA の GGL 会員のようにちらほら見かける事態になっています。

 これにステータス・マッチ、ステータス・チャレンジによる即席会員も加わります。インフレーションは著しいことこの上なし。これが世界の航空会社会員プログラムの現状です。

 

JGCSFC 会員の不幸は、サービス自体が削られることに加え、会員レベルが相対的に低下する一方だということです。他の客から区別して手厚くもてなすでは、区別されないことが年々増加しているのです。

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会員ティアのインフレーション


ライフタイム・メンバーシップの流れ

各社のライフタイム・メンバーシップも増えています。しかし位置づけは、BA と異なる方が多くなっています。ある会員を30年維持で永久化なら、同じ理屈で説明できるかもしれません。しかし AA や DL の 40年〜 や最近新設された QF のライフタイム・プラチナの 63 年になると、実質的には「有限期間での持続で無限化」では無くなっています。達成には上位ティアの持続が必要で、ライフタイム・メンバーシップは、たくさん使ってくれたから、少し劣るティアを一生やるという意味に変わっています。ありがたみはそこそこです。

 そんな中、パンデミックで導入が延期されている LH のライフタイム・プログラムは示唆的です。7,500 QPで到達するライフタイム Frequent Flyer は、同会員の毎年必要な QP の 47 年分を要求することから、同じメンバーシップの永久化ではなく、Senator 会員(連続16年で到達)や HON Circle 会員(連続 5年で到達)を維持する会員のためにあることが分かります。しかしこれらの会員にとって、Frequent Flyer の特典は全く魅力がありません。どうやらライフタイム・セネターへの道程上にあるペースメーカーのようです。そして Senator の10,000 QP と Frequent Flyer の 7,500 QP が近いことも目を引きます。本来この2つの会員ティアは搭乗実績に2倍の違いがあるので、ライフタイム・セネターは 15,000 QP が妥当な線。LH は「10年間 Senator または HON Circle 会員」と言う条件を、5,000 QP に匹敵するかそれ以上のハードルと考えているようです。

 顧客は 10,000 QP という数字から想像するより、ライフタイム・セネター達成は難しいことを心した方が良さそうです。

 

インフレは、ライフタイム・ティアではまだ顕在化していません。しかし将来これは不可避です。ライフタイム・エリート会員なんて、数が増えれば負のレガシーにしかなりません。航空会社は当然予想しているので、ライフタイム・メンバーシップでもハードルは高くなる傾向があります。

 

日本在住会員がチャレンジするには、基準が低いライフタイム・メンバーシップも残っています。QF の GFL や BA の GFL などです。共に本拠地から遠い国の会員たちであり、実数としては大した数ではないので放置されているように見えます。

 一般に水準より上または下に扱われている客が一握りである場合、イメージ重視、実利軽視から放置されますが、増えてくるとバランスを厳しく考えるようになるのはレガシーキャリアの日常。いろいろな角度から改悪への心構えが必要な気がします。

 

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